この世のもの

見たものと考えたこと

つばきファクトリー CONCERT TOUR 〜ENCORE PARADE〜 於オリックス劇場

春のツアーは何度も書くけどファンクラブが間に合っていなくて見られず、武道館は行けて、今度の河口湖も行く、その狭間のencore PARADEでした。

ワンマンコンサートはアンコールが付き物と思っていたので最後に普通に終わってしまって驚いた。確かに夏のハロコンと思えばそういうことなのか。今回のハロコンがグループ別になっていたために、松本さんがCOVID-19陽性になってしまってもコンサート中止がアンジュルムだけになったというのは、アップフロントの先見の明があったというべきかもしれない。しかしここ数日の感染拡大は恐ろしい数になっていて、たぶん多くの人は罹った時の症状よりも、社会的なダメージを心配していると思う。大阪に行くのも緊張する。当日中止になる可能性もあるなと思いつつ会場に行ったので、12人揃っていたのには本当に安心したし、ありがたい気持ちになった。かかる時はかかるけど、かからないでくれてありがとう。

席は3階で、これはちょっと遠い。武道館の時より遠い。会場は全部埋まっていたのだろうか、1、2階の様子は3階からは全然見えなかったのだが、席数を考えたらすごいことだ。声が出せたら迫力あっただろうな。メンバーの見分けは問題ないのだが、表情までは難しかったので、いつも以上に双眼鏡が活躍した。

武道館はスッペシャル公演だったので、アンコールとは言えほとんど別物のコンサートとして新鮮に楽しめた。ステージが段になっていて、そこをアップダウンしながら目まぐるしく(正直ちょっと過剰かと思うくらいに)フォーメーションを変えて歌い踊るみなさん。12人が多いと感じることがほとんどないくらいに考え抜かれたステージングには感心させられるし、それを実践するメンバーには賛辞を送るしかない。とは言え、素人目にもわかるくらいにポジションが崩れているところもあって、それはリトルキャメリアだったりする(私の観ている絶対的な時間のせいかもしれない)のは、そういえばまだ2年目に突入したばかりなのだと思い出される。八木さんとかは動揺が表情や動きに出がちだ。

それはまあ、粗を探せばという話であって、全体には12人の完成度の高いパフォーマンスがコンサートを通じて達成されていて、観ている間の幸福が約束されている。1回観ただけでは全容を把握することが全然できないので、マルチアングルの記録映像を繰り返し見たい感じだ。1時間半くらいのコンサートだったと思うが、帰ろうレッツゴーを聴く際の寂しさはかなりのものがある。

印象に残った曲

冒頭が「アドレナリン・ダメ」で、心の準備ができていないうちに劇薬を注入されたような状態になる。これに関しては全公演で2回ずつくらいやっても誰も文句は言わないのではないだろうか。今のつばきファクトリーの実力がダンス・歌ともに全身に伝わってくる曲だ。

「アイドル天職音頭」を生で見るというのはこのコンサートの楽しみの一つだったのだが、素晴らしかった。すでに音源よりだいぶいい。やはり歌い慣れていない歌唱法だったので、どんどんこなれてきているのだと思う。あとは音源の方がちょっと声を整えすぎて個人が聴き分けづらくなっているのもある。冒頭の山岸さんと真琳さんがまず声質のマッチングが素晴らしかった。山岸さんは根詰めすぎちゃのところも完璧だった。豫風さんのソロは音頭感がより増していて、もっと聴きたくなる。最後の河西さんと岸本さんが高らかに歌うところで、なんとなく今のつばきファクトリーを引っ張るのはこの2人という感じが勝手にした。あとは星部さんお気に入りのダンスも楽しめ、河西さんの移動距離が長さや歌っていないメンバーの真顔ダンスも確認できた。それにしてもこの曲はMVのSEが耳に馴染みすぎていて、岸本さんのパートの銅鑼がないのが寂しく感じてしまう。

「ハナモヨウ」はリリースの時とは比較にならないくらいエモーショナルな曲になっていて、是非新録してほしいと思うくらいなのだが、地元の豫風さんが特に大活躍だ。フォーメーションダンスも3階から観ていて惚れ惚れするくらいの切れがあった。豫風さんは見るたびに大人っぽくなっている気がする。中学生の1年というのは長い時間だ。本当はもっとクールな衣装やメイクができるところをあえて年相応にしている気がするが、曲ごとの表情はそれらを飛び越えている。

「イマナンジ?」は冒頭にある河西さんのソロが素晴らしい。小片さんのいいところをカバーしているし、声質のオリジナリティも生かされている。河西さんは歌い始める前にさあ歌うぞという緊張感があるのだが、歌うと完璧だった。河西さんは他のリトルキャメリアの3人と比べると立ち居振る舞いに初々しさがあると思っていたけれども、むしろこういう感じの人なんだなと分かってきた。テンションが表に出ている。肌色が赤みを帯びるのもかわいい。イマナンジは細かい歌割の部分が後半にあり、真琳さんの歌声も、ほんの少しだけど印象に残る響きだった。

「ガラクタDIAMOND」がワンハーフだったのには憤慨している。どういうことなのか。真琳さんの「そっとくれた」や小野田さんの「大嫌いよ」のファンがどれだけ多いと思っているのか。私情すぎる要素はともかく、ワンハーフにするくらいなら曲数を減らしてほしい派です。楽曲は一つ一つが作品だと思うので、メドレーも余程の工夫や理由がない限りは受け入れ難い。それはともかく、段差に座るメンバーを背に、河西さんがポジションに入る時の晴れがましい感じは微笑ましかった。座ったまま歌ったり、かなり工夫されたステージ構成だったので、より短かったのが惜しい。

「表面張力」はクラップ・足踏みが武道館で初披露だと思うので、おそらく「encore」からの曲かと思うが、また参加できてよかった。途中のラップのところは今日はメンバーをかなり繋いでやっていたのだが、武道館はどうだったか、記憶にない。ともあれ真琳さんがかなり格好よく決めていたので嬉しかった。この曲のように要素が多くても12人いれば成立させられるので、大変とは思うがどんどんいろんなことに挑戦してほしい。オケのコーラスを減らして歌割のないメンバーで歌うとか、やったらめちゃくちゃいいと思うんだけどな。ヤなことそっとミュートは4人でやっていたのだからやれないことはないと思う、PAが大変だけど。

「弱さじゃないよ、恋は」は聴くだけで泣いてしまう状態なので、今日の出来がどうかとかはもうよくわからない感じになっている。落ち着いた曲調だけれどもダンスはかなり凝っている曲で、カノンになっていたりもするので、全体が見られたのが良かった。歌としては相当難しそうで、まだまだ良くなりそう。谷本さんが今日は歌声が異常に安定していて、「思うようにうまく走れない」が音源よりゆらぎが少なく、うまく走れていそうなくらいだった。コンサート終盤は割といつも通りになっていたけれども。谷本さんから新沼さんという歌割の流れが定番としてあるのだということが最近わかってきた。歌声に親和性があるのだろう。この曲の代名詞になっている落ちサビ「アーバンブルーのTシャツ」のところで会場全体の集中力が高まる感じがあった。河西さんの歌声を聴く姿勢に。

本日の真琳さん

ポニーテールだった。以前ブログで画像を見ていたが実物を拝見するのは初めて。顔の小ささ、首の長さが際立ってシルエットとして非常に美しかった。メイクはカラーメイク(たぶん、アイシャドー?)をしたと挨拶で言っていた。ちなみに初めは英語で。挨拶に英語を入れ込むのを続けているらしい。八木さんはミュージカルを演じ*1、河西さんはメンバーの座右の銘を紹介するというシリーズを続けているみたいだ。話が逸れたが、メイクはよく分からないけれども全体としては素顔に近かったような印象だ。衣装2着目は武道館で着ていた紫陽花柄のだったのだが、メンバーカラーも青系な真琳さんは寒色が合っているのはもちろん紫陽花という花が似合っていた。

何しろ遠かったので、双眼鏡を使っていない時はシルエットとか、ダンスが印象的だった。オープニングの「アドレナリン・ダメ」で最初にダンスが目に留まったのが真琳さんだったのだが、曲による部分はありつつも本当にダンスが美しい。そういえば「約束・連絡・記念日」のターンを初めて見逃さなかったのだが、ターンはかなり多めにやっていて、どこだったか2、3回転していてサービス精神を感じた。私が真琳さんのダンスを美しいと思うのは、主に手足の描く軌跡のためだと思う。常に弧を描いているような感じで優雅だし、体幹もそれに合わせて微妙に曲げられている、気がする。知識がなさすぎてよく分からないが。曲によっては大きな動きをするときに体全体が1つの流動体のようにうねっているところもあって見応えがあった。表情も相変わらず良くて、試しに「My darling 」を双眼鏡で真琳さんだけ観てみたのだが、ほとんど歌割はないのだけれども歌詞を口ずさみながらそれに合わせた顔つき、身振りの変化を見せていて楽しいしかわいい。八木さんもその点では変化が大きいし、顔の部品がはっきりしているので(びっくりするくらい目が大きい)印象に残る。あまりに感情の変化を表現していてちょっと他の人と振り付け違うんじゃ、という時もあるけれども。

さて、真琳さんはリトルキャメリアンの中でも歌割がどうにも少ない(9人時代の曲は特に)のだが、やはりソロパートを聴くとそれも仕方ないところもあるかなと思わされる。レコーディングに比べると安定感がないというか、たぶん声質の良さがうまく聞こえにくい方向にも作用しているのかなと思っている。本人のインタビューでも言っていることなので頑張ってほしいと思うほかないが、他グループにまで視野を広げると、河西八木豫風の凄さということな気もする。ともあれ、ステラシアターのライブでソロを引き当てるような特別な星の下にいるタイプの人なので、今後もステップアップの機会には事欠かないと思う。ソロ楽しみだな。今のところ恋の呪縛が1位のようだ。関係ないが、何の曲だったか忘れた、河西福田ペアで曲開始前のポジションで髪をいじりあっているところがあって、形容し難いポジティブな気持ちになった。

まとめ

メンバーも挨拶で多く触れていたように、3階席にもパフォーマンスを届けるという意識が皆に共通していて、実際多く目が合うように感じるほどこちらに目配りしてくれることもあった(谷本さんは首が痛くなったとのこと)。開演前に3階席に実際に上がったようで、それが共通理解となっていたみたいだ。こちらとしても見下ろしていても疎外感を感じるようなことはなく、会場にいてコンサートの一部になっているという実感が持てた。これはもう称揚するしかない。

つばきファクトリーは12人としての完成度を日々高めており、それぞれが自分の役割を理解してパフォーマンスしているように見える。というか、こちらの見る解像度が高まっているのかもしれないので、だとすると申し訳ないけれども、ファンになっていくというのはそういうことだとも思う。浅倉さんの単なるエースではなく痒いところに手が届く感じの巧者ぶりとか、岸本さんの圧倒的な存在感(どの曲でも終盤に岸本さんのフェイクが入るような気がして待ってしまう)とか、小野・小野田の低音ラインとか新沼・岸本の高音ラインとか、秋山さんの河西さんとはまた違った儚さを湛えた歌唱とか、山岸さんのどこまでが意図でどこまでが作為なのかわからない捉えどころのなさ(褒めようとして失敗している気がする)とか、渾然一体となった充実感がステージ上にあってそれがアイドル転職音頭のMV世界のように客席に伝播している。客席も声が出せるようになったら通り一遍のコールではない何かで反応するべきではないかと思う、が、妙案があるわけではない。

 

1.アドレナリン・ダメ

2.涙のヒロイン降板劇

3.三回目のデート神話

4.約束・連絡・記念日

MC

5.アイドル天職音頭

6.ハナモヨウ

7.イマナンジ?

8.ナインティーンの蜃気楼

VTR

9.最上級Story

10.だからなんなんだ!

11.可能性のコンチェルト

12.ガラクタDIAMOND

13.My Darling ~Do you love me?~

ボディパーカッション練習

14.表面張力~Surface Tension~

15.弱さじゃないよ、恋は

16.マサユメ

17.今夜だけ浮かれたかった

MC

18.足りないもの埋めてゆく旅

19.帰ろう レッツゴー!

 

 

 

*1:公式Twitterによるとオペラ座の怪人「マスカレード」