この世のもの

見たものと考えたこと

「Juice=Juice Concert 2021 ~FAMILIA~ 金澤朋子ファイナル」ライブビューイング

京都は1ヶ所なのかな、そちらに行きました。京都中のファンが集まっていたかと思うと感慨深い。若い人が多かった。女性や、男女カップルなども多くいて、コンサート会場とはまた違った客層のようだった。

 

佳林さんの湿っぽいのを極端に嫌うのとは違い、真面目な部分が出ているしっかりした卒コンだった。クライマックス的なところで満を持して歌われると思っていたイジワルしないで抱きしめてよが1曲目だったのでいきなり泣かされた。ユニットに分かれてのメドレー、新人の如雨露などもありつつ、要所要所では今までのライブでクライマックスに歌われてきた曲を総動員して、金澤さんとJuice=Juiceの歴史を振り返ることのできる良いセットリストだったと思う。

新曲を聴けた

12月に出るシングル曲をその歌唱メンバーで、ライブで聴けるのはこの日だけというなんとも勿体無い事態ではあるのだが、とにかく聴けて良かった。普通だったらイベントやライブで歌いこまれてCDとはまた違った形になり、こちらも耳に馴染んで体の一部になっていくような流れだったりするのだが、一発で決めなくてはならないメンバーも緊張ひとしおだったかと思われる。

Plastic Loveを最初聴いた時に、冒頭の新メンバーの歌声があまりに落ち着いていて曲に馴染んでいたので驚き、ライブを楽しみにしていた。特に入江さんはソロ歌唱動画に比べても上達が驚異的だった。3人ともライブでもそれが破綻してなくて、しっかりと雰囲気を作っていた。MVではダンスショットは最後のみだったので、振り付けはそんなに多くないと思っていたのだが、実際はかなりダンスがしっかりあった。Downtownのような曲調ならともかく、よく踊りながら歌えるなと今更ながら感心してしまう。終盤のフェイクはDowntownから発展したような充実の内容で、より聞き応えがある。締めが里愛さんになっているのも未来を感じる(MVで映っていないけれども!)。

Future Smileはイジワルしないで抱きしめてよの直後だった、まさに最新版のイジ抱きだなと思っていたので非常に納得の並び。間奏のバイオリンは特に振り付けには関係なかった。ゆめりあいがやたらとイチャつくのが微笑ましい、振り付けの方に賛辞を送りたい。段原・井上・松永でこういう格好いい曲は攻めていきますよというのがはっきりと分かる曲で、まさにすぐそこの未来のJuice=Juiceを感じる曲だ。江端・入江パートも落ち着いて決めていて良かった。

Familiaは金澤さんが歌う前から感極まっていて不安になったがしっかり歌いきっていた。入江さんはコメントを求められて泣きそうになりながら曲に突入していたが、大崩れしていなくて立派だった。この曲はハロプロにたまにある、構成が不思議で覚えにくい曲だけれどもそれが感情をだんだんと持ち上げてくれる。卒業するメンバーを送り出す曲というよりはグループという場所を讃える歌なので、色々な大事な場面で歌われていくことになりそう。武道館のWonderful Worldみたいな。いい曲。

7人が強い

10人で最初で最後のコンサートではあったのだが、7人でのパフォーマンスも多くあり、それがまた素晴らしかった。佳林さんが卒業し、高木さんが抜け、事故的に発生したこの体勢だったけれども、ゆめりあいの急成長もあって穴のないバランスの取れたメンバー構成で、このメンバーでツアーとかホールコンサートとかをもっと見たかった。もっと色々な曲を見たかったと思う。オリジナルメンバーが少数となった(しかも比重の高いメンバーが一気に去った)ことで歌割を変えやすくなったのも全体のパフォーマンスに良い影響をしていたと思う。とにかく強かった。

段原さんはこの2年くらいでだいぶ大人な歌い方になった、力が入っていないのに力強い歌。歌声に年齢が追いついてきたことによって表現力が爆発している感じだ。相貌もそこに乗ってくる表情も他にいない人になっている。素直に甘えてなんて言い訳不能+不要に色っぽかった。今までもそうだったが完全に歌の中心になっている。完全にFiesta! Fiesta!も久々に聴けたが、情熱の解き放ち方が変わっていて、鋭い高音から広がりのある高音になっていて、まさに解き放たれた感じがして、声を上げたくなる場面だった。高木さんとは得意分野が違うのだが、それでも跡を継いで歌っている場面がいくつかあった。Choice & Chanceなどはひなフェスでも苦労していたけれども、ついにMagic of Loveの終盤を歌うに至り、他では表に出さない懸命さに胸を打たれる。

里愛さんはどんどん歌割を獲得していっている。とにかく多様な歌い方のできる人で、曲調に応じて、求められる歌い方を完璧にできてしまうのがすごい。ある意味では金澤さんのどこでどう聴いても際立つ個性とは対照的で、馴染みが良い。前任者の歌い方に対するリスペクトも感じられる歌は前は少々モノマネっぽかったが、今は一本筋の通った里愛さんの歌になっている。表情のクールさが当初は硬さのようにも思えていたが、大人っぽくなって格好良さでしかなくなり、着いていきたいと思わされる。

由愛さんはどうしても力みがち、特にこの日の気合はすごかったのもあったのだが、どんどん良くなっているのは間違いない。オリジナルの歌割がある曲も増えてきて、Plastic LoveやFuture Smileではしっかり雰囲気を作っていた。個人的な白眉はFiesta! Fiesta!の情熱を解き放とう、全力すぎて野生味が溢れていた。そして何と言ってもダンスが2年経っても個性的なままでいてくれるのが嬉しい。どの曲だか忘れたが、タコ踊りがガチッとはまっている曲があった、なんだったかな…。

植村さんは昔から調子の良い時とそうでもない時の差が激しく、良い時は本当にすごいものがあるのだが、この日(特に前半)は素晴らしかった。イジワルしないで抱きしめてよの「お願い」は本家とは違った透きとおり方と広がりがあり、なんなら全部担当してほしかった。金澤さんとのシンクロも良かったな。そして、リーダーとしてどんなグループにしていってくれるのか楽しみでならない。

金澤さんはいつも通りだった、音程がほぼ狂わない。植村さんみたいに鰻上りの方がいることもあってあまり言及されないが、この8年間でどんどん上手くなっていった、特にライブの歌声。以前は癖が強すぎてソロだと歌詞が全然分からなかったり、レコーディングに比べてライブだと力が入りすぎて一本調子だったりしたけれども、今日のソロの発生のクリアさと歌全体の緩急、感情の発露というかもうすごかった。Future Smileでは全体のディレクションのせいだと思うが、久々に金澤さんらしい聞き取れなさがあってちょっと嬉しかった。

金澤さんの挨拶

当然のように何も見ずに話していて、あまりにまとまっていたせいで学校の卒業式みたいになっていた。あの状況下であの淀みなさ、言葉に詰まることさえなかったのが宮本佳林さんがいつも自慢していた金澤さんの力だったなと感慨深い。結構ツッコミポイントも用意していたかもしれないが、同期は植村さんだけだし、茶々を入れるようなメンバーが不在なのに少し寂しくなったりもした。

次期リーダーはまた後日YouTubeかと思ったが、ここで発表された。植村さん指名されるもヘラヘラしててよかった。そしてサプライズとのことで各メンバーからのコメント、サプライズというか、普通はありますよね。

新メンバーは過ごした時間が短かったうえに、グループとしての初ライブが横浜アリーナという感情的に一杯一杯であろう感じで、涙が募っていた。里愛さんはいつも通り、雰囲気に飲まれない。由愛さんは泣かないで笑顔にしようとしている様子で短くまとめすぎ、金澤さんに「それだけ?」と容赦なく突っ込まれていた。井上さんが泣いていたのが意外だった、あんまり泣かない人と勝手に思っていたが、寂しい気持ちを吐露していて、でもやっぱりある意味金澤さんリーダー下のJuice=Juice1期生でもあるし、心強かったんだろうなと思わされる。稲場さんはがんばりまなかんをどんな気持ちで強く推しているのかよくわからないのだが、ともあれ金澤さんにやらせることに成功していた。段原さんはリスペクトの気持ちがよく現れていたし、植村さんは私が次期リーダーなのだから安心しないでなどと宣っていた。金澤さんの挨拶で良かったことの一つに段原・稲場・井上を一つのまとまりとしてコメントしていたことで、加入やデビューのタイミングは違うけれどもキャリアの長さはそう変わらない。しかも紆余曲折あった3人がいまJuice=Juiceでメインに活躍していることを改めて嬉しく思った。

 

体調による卒業ということだが、ライブの時期やシングルの内容を考えるとそう大幅に早まったということではないのかなと勝手に考えている。ソロとしての展望もしっかりと抱いての旅立ちだと思うので、あまり余計な心配をせずに待っていたい。