この世のもの

見たものと考えたこと

つばきファクトリーの話

つばきファクトリーに新メンバーが入ってからかなりの時間が経ったが、そのことについて所感をずっとまとめようと思いつつまとめられていなかったので、書こうと思う。

これまでのあらすじ

つばきファクトリーについては、結成時にハロプロ研修生発表会で見たり、 Juice=Juiceの日本武道館で3年連続OA出演してくださったり、その他ハロコンも含め見てきた。初期の2015年というのはつんく氏がハロプロのプロデュースから降りてすぐ後くらいだったのだがなぜか彼の楽曲提供を多く受け、インディーズ時代は暗めの曲を不安定な歌唱で伝えている印象があり、ほぼ同期のこぶしファクトリーに比べても煮え切らない感じを受けていた。その後、増員とメジャーデビューをしてからは割とウェットな恋愛ソングを歌うことが多く、上手にグループとしてのカラーを出してきているなと側から思いつつ、「今夜だけ浮かれたかった」はかなり曲として好きであり、シングルCDを買ったりもした。こぶしファクトリーが解散したり、アンジュルムやJuice=Juiceがメンバーの加入卒業を繰り返す中でも9人という元々多めの構成を変化させずに保っていたのだが、2020年末にサブリーダーの小片リサさんが脱退してしまい、8人でセカンドアルバムをリリースしていた。コロナ禍でハロプロではグループごとの活動が極端に減少していた中だったので、8人での活動をほとんど見てはいないのだが、Juice=Juiceとつばきファクトリーの合同オーディションの結果として、4人のメンバーが加入した。卒業が明らかになっている人もいない中でのことなので、多すぎではないか、また豫風瑠乃さんが入ったことにはむしろJuiceむきなのではないか(実力診断テストBP賞だし)と疑問を抱いた方も多くいただろうし、私も12人は多いと思った。比較的少人数の方が好みなのもあるが。最近のハロプログループ人数多すぎ問題はまた別の話。

新メンバーが入る

さて、オーディションは合格者のものが後ほど公開されるのが近年の常であるのだが、一般参加の3名も追加メンバー発表後にオーディション風景が公開された。そこでわかったのは3人とも歌もダンスも達者であることで、明確にしているものとそうでないものとあるにしても、心得のあることが明らかな人々だった。それぞれに歌い方に大人っぽい雰囲気を携えていて、つばきファクトリーの曲調への相性が良さそうに感じたのと、その後もソロ歌唱動画、新曲MV発表、スカパーの冠番組日本武道館公演と、コンサート会場に全く行っていない私にも新しい材料が次々に投入されてきた。あっさりとはまってしまい、ほとんど見てこなかったつばきファクトリー関連のものを見るようになった。接した時間が長ければ理解も深まり、良いところもより見えてくるというものだ。新メンバーの皆さんについての感想をまとめてみようと思っているうちにずいぶん時間が経ってしまった。

4人は高校3年生が2人、高校2年生が1人、中学2年生が1人の4人で、一般参加の3人はなかなか年齢が上の方、実際ラストチャンスだというような気持ちを述べている場面もあった。つばきファクトリーはこれでハロプロ研修生ユニットではなくなり、割と幼い頃からハロプロ的な歌唱、ダンスを教え込まれた人々の中に新しい血が入った感がある(同時に、Juice=Juiceにも宮崎さん以来のハロプロ研修生を経ないメンバーが入った)。

河西結心

読めないけどゆうみさんだ。心をみと読むのはどういう流れなんだろう。真ん中という意味があるから、実とか身に通じるのかな。それはそうと河西さんはストレートに美少女で、顔の整い方でいうとハロプロ随一ではないだろうか。芸能経験はあるようだけれどもダンス歌唱は未経験ということになっていて、でも実際にオーディション映像などを見ると到底そうは感じさせない。ビブラートがかかった歌い方と、憂いを含んだ、でも透き通った声のトーンがあって、惹きつけるものがある。歌唱動画は「ひとりで生きられそうってそれってねえ、褒めているの?」で、非常に合っている。冒頭、落ちサビの宮本さん段原さんパートが特に素晴らしい。他の部分では力強さがあって、相貌とのギャップもあると思う。つばき新メンバーの良かったのは、レコーディング音源が先に立っていたことで、やはりパフォーマンスで同じように歌えるには時間がかかるからなのだが、でも河西さんは特に早々にライブ映像でも歌声に個性をうまく出せるようになっていた。
全体的な人形のようなシルエットとか、武道館公演MCでの照れた笑顔なんかを見るとカントリー・ガールズ時代の島村嬉唄さんを思い出してしまうが、アイドル性の高さは通じる点ありつつもっと順応してくれるような気はする。キャラクターは明るく、オンラインサイン会などでは先輩をからかうようなところも見られる。テレビ番組ではメンバーから「部活の後輩」という秀逸な表現をされていたが、確かに後輩感ある。

八木栞

声楽やミュージカルの経験があるということで、アイドルとしては独特な発声で歌う。最近のハロプロディレクションは個性を抑えず伸ばす印象があるけれども、この人もそんな感じだ。オーディション映像ではつばきファクトリーの世界観に新たな視点を加えるような印象があり、髪型のせいか結構大人っぽい印象があったのだが、他の場面で見かけるようになると目の輝きが印象的な少女だった。喋り方もふにゃふにゃしている。おそらくデビューにあたり一人暮らしを始めたものと思われるが、作った料理をクオリティ関係なくブログに上げていたことで話題になっている。自分が一人暮らしを始めた頃の、一品作るだけでもういいやとなる感じが思い出されて楽しい。鍋ごと食べているのはちょっとすごいなと思う。ヤギメシという誰かが発案した名称をつけて公言したり、それ以外のMCなどでも自分に注目してほしいと衒いなく伝えている辺り、自己肯定感が備わっているのが分かる。動画の再生数は気になるようだけど。
歌の話に戻ると、日本武道館公演から既にレコーディングに近い個性の際立った歌声を披露していたし、順調に歩んでいるように見える。次の曲でも歌割がたくさんあるといいなと期待している。歌唱動画は「黄色い線の内側に下がってお待ちください」で、金澤朋子さんのソロ曲だ。一聴して分かる独特な歌声という点では八木さんは通じるものがあるし、アイドルになった年齢も近い。八木さんは金澤さんの存在があって自分もアイドルになろうと思ったとブログに書いており、多様性が多様性を生むのだな、と感慨深い。
先日のハロー!キッチンではブログを見た黒木さんに警戒されたのか、ほとんど調理をさせてもらえず見ているだけだった。

福田真琳

名前のアルファベット表記は”Marine”なので間違ってはいけない。ハロプロ顔というか、割と薄めの顔なのだが、韓国映画の俳優さんっぽさもあるハイブリッドな方。初の長崎県出身者ということで、平和教育の賜物か、ロシアのウクライナ侵攻の際には直接の言及ではないにしても平和の有り難さについてブログに記していた。
新メンバー発表の時の風貌は完全に田舎の少女といった感じだったのだが、早々にしっかりしたメイクをするようになり、コンサート、動画等での表情の作り方もなかなか個性的で魅力を発揮していた。表情の多様さというか、はっとさせられる瞬間があるかどうかでファンになるかが決まる部分はあると思う。つばきファクトリーの、陰影のある歌詞世界と福田さんの冷たさを持った眼の表情が合っていて、新曲のMVでも良さが発揮されている。
この人も声が良くて、低いんだけど太くない声。格好いい。普通に喋っている時の声の延長線上にあるので天性のものと思うが、表情とも合ったクールな雰囲気がある。歌唱動画は「好きって言ってよ」で、Juice=Juiceが続く訳だが、これも今まで述べた魅力が多く現れていて、再生回数も伸びている。歌をやってきたわけではないようなので、専門的なテクニックをこれから身につけていくのが楽しみだ。まだレコーディングとステージの差が大きくてコンサートでは声の魅力を出しきれていないように思っている。ちなみに、喋り声の良さは小片さんの「初恋サンライズ」でのセリフパートを受け継いでいるあたりにも生かされている。
福田さんは要素の多い人で、英語の発音がとても良いというのもある。アプカミのレコーディング映像などでは”or”の発声ひとつで心を掴まれる。ハロプロはもっと英語の発音を大事にしてほしいと思う。現状は本人の元々のスキルに依存しているが、プラスティック・ラブとかも最後のリフレインのところとか、惜しいなと思ってしまう。福田さんと有澤さんはその辺りを革新していってくれるのではないだろうか。
その他、バレエを経験してきているのでダンスがしなやかだったりターンに切れがあったり、顔が小さいアイドルの中でももう一段顔が小さかったり、頬が柔らかくて浅倉さんが引っ張る動画が素晴らしかったり、ブログで絵文字ではなく顔文字を、しかも感情の読めない変なのばかりԅ( ͒ ۝ ͒ )ᕤ使っていたりする。私もだいぶ好きになっており、オンラインサイン会に応募してサイン入りのシングルを手に入れたり、ハロプロソートをやってみたら1番になって驚いたりした。宮本さんがいなくなったハローでの推しメンということになりつつある。
考えて発したコメントや文章はいつも素敵なのだが、通常のブログは結構簡素である。

豫風瑠乃

一見して人名かどうかも定かではない苗字のインパクトでハロプロ研修生加入時から印象に残ってはいた豫風さん。最初から歌がうまかった。研修生発表会は久しく行っていないので、ハロドリ。も地上波放送されていない地域の私としてはあまり情報はない状態だった。ハロプロ研修生の実力診断テストはしっかり見させていただいて、Juice=Juiceを選曲している時点で思い入れが発生するのだが、とても伸びやかで好感の持てる歌唱だった。
中学2年生で若い!と思うが、まあJuice=Juiceの結成時も、6人中3人は中学2年生だった。今思うと若い。末っ子的立場を完全に手中にしており、オンラインサイン会などでのはしゃぎぶりは楽しい限りだ。高校生になってから加入の3人がある程度常識的なことを弁えているのに比べるとちょっと怖いところがあり、いきなりドッキリ企画をして一部ファンの不興を買ったりしていたが、表沙汰になるような問題のない感じに進んでくれると良いなと思っている。
研修生での経験もあり、新人のなかではコンサートでの声量が全然違う。歌唱には安心感がある。これからもどんどん歌割を得ていくと思う。レコーディング動画ではリズムに苦戦している様子が映されており、研修生からの課題に引き続き取り組んでいる様子だった。

新曲の話

「涙のヒロイン降板劇」は新しいつばきファクトリーの姿を見せるのにふさわしい素晴らしい曲だったと思うし、まずMVが公開されたのも良かった。エレクトロスウィングというものの一種と言っていいのだろうか、アンジュルム「愛されルートAorB?」、Juice=Juiceの「Future Smile」とも同じ流れだと思うが、やはり岸本ゆめのさんがいるのがつばきファクトリーの強みだとわかる曲だ。コーラス、フェイク等、大事なところをほぼ担当して支えている。新メンバーも少しずつソロパートがあって印象的なのだが、Aメロの先輩メンバーと2人ずつ歌う部分でもそれぞれの声が際立って聴こえるのがすごい。MVでのリップシーンも表情がクールで、それまでに動画等で見てきた印象を塗り替えてくれる。特に福田さんに見下される感じのショットがかなり好みだ。
新メンバーの歌唱は他2曲でも多く採用されている。「ガラクタDIAMOND」は馬飼野康二作曲の歌謡曲なのだが、歌いだしと落ちサビとを河西さんと豫風さんがソロを歌い継いで担当している。豫風さんは研修生のときにはなかった曲調を難なくこなしているし、河西さんは自然にかかるらしいビブラートを含め切ない雰囲気を出している。八木さんの「土砂降り」のドラマチックさも印象に残る。「約束・連絡・記念日」もある意味で恋愛ソングなので、恋愛の歌が少なめのJuice=Juiceに慣れているとここまでシングル内に充満しているのはなかなかすごいなと思う。この曲はソロ歌唱を歌い継いでいく感じなので、今のメンバーの個性がよく分かるし、どのようなところで使われるかで役割的なことも垣間見える。冒頭の河西さん、「だから」の八木さん福田さんあたりが新メンバーだと聴きどころ、あとは「足りなくなる」を歌い上げる浅倉さんの貫禄。
新曲で気付かされたのは、小野さんがかなりの要だということだ。音程が安定しているし、低い声の力強さがある。コンサートやイベントの動画を見ると、歌唱に頼りなさがあるメンバーもいないではないと思うのだが、それぞれが得意なところで活躍すれば大丈夫なのが、12人と大人数になったことの利点だと思うので、今後の曲でも悪平等に陥ることなく武器を使っていってほしいと思う。

 

年末コンサートで生で見てからよりつばき熱(というかハロプロ熱)が上がっていて、ファンクラブに入り直したのだが、各グループの単独コンサートのチケット申し込みには間に合わず。つばきファクトリー単独は見たことがないのだが、いずれ会場に行きたいと思っている。武道館のBlu-rayどうしようかな、放送の録画はあるのだけれど。
それと、Top Yell NEOの応募でチェキに当選した。飾っている。ありがとうございました、と、自慢で終わる。

 

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