原作未読なので良い点悪い点が映画独自のものかは現状分からないところもある。
全体的に作りの緩い作品だった。演出の統一感の無さや、設定の曖昧さや、妄想・想像の映像への表出の仕方など。
出来事と行動の関わりとか、表情の意味とか、色々なピースがはまりそうではまらない。
なんだかもどかしさが募るまま映画が進んでいった。
(美術とか、部屋の感じとかも作り込みが緩かったが、それはなんともリアルに思えた。)
しかし良いところもたくさんあり、同じ属性をいくつか持ち合わせている身としては共感する点が多々あった。特に、他の人も一人で生きているように思い込んでしまっているあたり(というかいちいち他者にまつわる他者を想像できない)。
のんさんは表情、声色を多彩に振り回していてそれだけで楽しめた。心情がナレーションじゃなくて実際の発言でどんどん漏れてくるが、それが本音とは限らず(そもそも自分で本心など把握できてないものだけど)、かといってAが本心かと言えば、逆に振って自分を安定させるための装置と思われるあたりが面白い。
ネガティブの波にさらされている時の思考回路に迫真性があった。Aの対応は経験や、過去の有益だった助言によるものだと思う。
カーターはハンサムなだけの人間と言われていたが、では多田君のどこを好きになったのか?
みつ子の視点で描かれるので、最後まで多田君がどんな人なのか分からずじまい。前半に一人で結構怖い顔してたなあ、とかあるんですが。
結論は2パターンのうちの1つなのだからそうかそうかという感じだが、エンディングは鮮やかだった。
前野朋哉に救われた部分も大きい。あれが中村倫也だったらだいぶ辛かった。
ちょうどいいって、林遣都に一目惚れしたくせに、、と思わなくもないが。