この世のもの

見たものと考えたこと

Hello! Project 2020 Summer COVERS 〜The Ballad〜 於オリックス劇場

関西に引っ越して最初のコンサート、ということで初オリックス劇場。広くて見やすい、いいところだ。

かわいくて歌の上手い人がたくさんいるのが楽しい。しかもそれぞれの人々にこちらの思い入れがあり、長いこと見ることができていなかったのだ。

元の曲は聞いたことがある、程度のものが多く、思い入れのある曲は皆無だったがそれぞれのメンバーを知っているわけで、大丈夫だった。バースデーイベントで遭遇する全く知らないハローの曲よりも聞いていて楽しかったかもしれない。そのバースデーイベントでしか通常聴けない(後はひなフェスで当たった人か)ソロによる歌唱をたくさんまとめて聴けるというのは中島さんも言っていたがなかなかない機会で、好きなメンバーが増えて追いかけるのが大変になるという事態が危惧される。

今回はカバーの上にハロー関係ない(事務所関係ない)曲ばかりなので、映像化しないことを前提に振り切った企画とも言え、生で見るモチベーションの高まる機会とも言える。一方で、カラオケ大会然とした企画であるのも間違いなく、正直言って見る前はそんなに期待していなかった。でも見たらやっぱりハローは皆個性的だし、歌がうまいので見ていて(聴いていて)楽しい。ある意味では実力診断テストにも近い楽しみ方でもあるが、何かが懸かっている訳でもないし、場数を踏んできた方々なので、質的により純粋に歌を楽しむ機会だった。ほかの班も見たいと思わされたが、私がチケットを購ったのはC班のみです。佳林さんがいるから。あと夢羽さんも。他を見ていないし、比べる必要もないが、心を掴まれたり揺さぶられたりすることが思った以上に多く、大変満足するとともにこれが映像化されないであろうことが残念だ。記憶に止めるには情報量が多すぎた。

あと、自分が現状間違いなくBEYOOOOONDSのファンであるなと実感したコンサートでもあった。

各曲について(抜粋)
  • 植村あかり 駅 (竹内まりや)  
    あってる。植村さんは初期のふにゃふにゃした歌い方の、そのふにゃふにゃさを完全に消すことなく上手くなってるのが面白い。
  • 岸本ゆめの やさしいキスをして (DREAMS COME TRUE)
    迫力。うまいとは思ってたけど、なんか一段階上というか歌手らしかった。ちゃんと展開も考えた盛り上げ方で、顔の演技も含めた気合が双眼鏡越しに感じられた。
  • 工藤由愛 さよなら 大好きな人
     中島さんも言っていたが、シンプルな曲調なので実力が試される。しっかり考えて、準備してきているのが伝わってきた。感情の込め方も、歌い方もストレートで好感しかない。どんどんかわいくなるのはどういう仕組みなんだろうか。仁王立ちで歌っていたのも良かった。
  • 宮本佳林 オリビアを聴きながら (杏里) 
    想像以上に佳林仕様だった。情報量が多い。表情の変化から、歌詞の変化を知る。癖が強すぎる感もなくはないのだけれど、沖に行くような歌い方でも十分魅力的な声なんだろうけど(そしてエッグ、ハロプロという流れを体現することにも価値を置いているはずであるし)、でもソロとしてやって行くうちにその辺りのバランスもよりよくなっていくんじゃないsだろうか。そもそも癖のことどう思っているのか。昔の自分とか、想定する他者とかが楽しむことを邪魔している気もする。考えすぎかもしれない。もっと普通に、素直に?受容できないか。歌唱としてはさすがだったし、自分をプレゼンス売るという気概も感じた。選曲も合っていたし、私の好きな路線の世界観で歌ってくれていた。また聴く機会があればなあ。
  • 笠原桃奈 あなたに逢いたくて~Missing You~ (松田聖子)
    すくすく育ってる感。佳林さんはどう聴いたかな。
  • 清野桃々姫  香水 (瑛人)
    知らない曲だけどLINEて言ってるから最近の曲だろう。なんでこの人はこんなに堂々としてるんだろう。決めてきていた。
  • 一岡伶奈 TOMORROW (岡本真夜) こうやって続けて聴くと、連絡手段が限定されてないので古びない歌詞だなと思える。一岡さんは話すような歌声が魅力だと思っている。
  • 牧野真莉愛 夢をあきらめないで (岡村孝子)
    この棒読みっぽい歌い方がはまるアイドルソングって多そうだ。ハローにはなかなか無いか。冒頭のお辞儀と最後のサイレントありがとうございましたがさすがのスタイルだった。
  • 岡村美波 あなたに会えてよかった (小泉今日子)
    めちゃくちゃ良かった。フルコーラス聴きたい。何が良いって声が。聴きづらいギリギリのアイドル歌唱にぴったりの声。なんと形容するのかはよくわからない。すみません。BEYOOOOONDSは歌唱法がハロプロらしさに囚われない形で多様なのが魅力だと前から思っていたけれども、岡村さんは特に強い。ちなみその多様さが窺えるのがTEKIのビデオである。あと、ポニーテールの岡村さんは仏像にそっくりである。有難い。「TEKI」~お家でもビヨンズver~
  • 山﨑夢羽 愛唄 (GReeeeN)
    GReeeeN好きじゃないんですよ。歌詞と歌い方が。でも夢羽さんは好きなので困る。あと今気づいたがBEYOOOOONDSって表記は影響受けてるのか? 聴いてわかったが、メロディーは嫌いじゃなかった。歌の安定感がただ事じゃない。思った通りに歌えている感じがするので、意図を受け取れているという安心感がある。男性の声を意識しすぎていないことで独自のものになっていた。リズム感が素晴らしいので途中のラップ調のところも楽しめる。緊張感あったけれども、どんな表情でもかわいいのが夢羽さんの特徴である。
  • 浅倉樹々 カブトムシ (aiko)
    aikoさん苦手なんですよ。歌い方が(最近は聴いていないのでそうでもなく感じる可能性はある)。でも樹々さんは以下略。そしてYouTubeのほのぴ伴奏歌唱を見て尋常じゃなく歌が上手くなっていることを知った後だったので期待していたが、それを上回る出来で感動もしたし、動揺した(つばきの熱心なファンでないので申し訳ない)。aiko的な発声をするわけじゃないけど、独特のリズムを排したような歌い方や抑揚をうまく換骨奪胎していてカバーとして秀逸だった。くどいわけじゃないけど真っ直ぐでもなく、技巧が全面に出ないけど技巧的で、かつオリジナル以上にアレンジが多様。天才的だと感じた。声がまた個性的ではないが、しみじみ良い。そしてかわいい。歌っているときはそこに神々しさが加わる。


    つばきファクトリー『ふわり、恋時計』 ピアノ伴奏バージョン

  • 小田さくら もののけ姫 (米良美一)
    本人がほんとうにやりたかったのなら、それで良いです。異物であろうという意気込みが素晴らしいと思う。
  • 山﨑愛生 手紙 ~拝啓 十五の君へ~ (アンジェラ・アキ)
    メイさんを見たのは2017年の実力診断テストが最初で最後だったと思うので、あまりの成長ぶりに驚いた。奇っ怪な衣装を着た片言の少女だったのに。でもその時の声の印象も垣間見えた。かなり工夫して歌っていたと思う。こういう意欲的な人の歌唱が安定すると群を抜いて上手な人になると思っている。
  • 谷本安美 打上花火 (DAOKO)
    最近のメンバーは皆うまい(ある程度より昔のハロプロについて知っているわけではないが)ので、谷本さんの音程の不安定さは新鮮に感じられる。米津玄師の手癖っぽいサビが生き生きとしてものに感じられる、絶妙な不安定さだった。

フルコーラスでないのが残念だが、長時間出来ないのは開場に時間がかかることもあるだろうし、他の事情もあるのかも。最後も特に全員出てくることもなく無情に客電が点く。非日常のなかの非日常というか、平時でないのだなとしみじみと感じる終わり方だった(退場が一斉でないのは見送り付きイベント等で慣れている)。