この世のもの

見たものと考えたこと

Love from Orchestra 於東京オペラシティ コンサートホール

去年のBEYOOOOONDSに続いて、Juice=Juiceもオーケストラとの共演をした。オーケストラの音響というのはホールにいてこそという気がしているので、姫路に比べるとだいぶ遠いが初台に行くことにした。オペラシティはアートギャラリーの方は現代美術の企画展をいろいろやっているので何度も行っているのだが、コンサートホールの方は初めてだ。オペラシティなんだからこっちがメインなんでしょうけれども。天井が高くて音響がとても良いホールだった。

 

今回のがどういう企画なのかよく分からないが、とにかくオーケストラ(グランドフィルハーモニック東京)がホストで歌手たちを招待して行われているという形式で、Juice=Juice(と佐々木さん)以外はなかなか普段関わりのない顔触れだった。

出演者とセットリスト

上記は出演順なのだが、順番が違うもの(佐々木さんが最初)が印刷されて配られていた。BEYOOOOONDSも前日か何かにTwitterで曲目を公開していたように、クラシックは曲目を公開してコンサートが行われるみたいなのでそういうことなのだと思う。おかげで心の準備ができたのだが、Juice=Juiceが最初だったのは想定していなかったので慌てた。

客層は思った以上にJuice=Juiceのファンは少なかったように見えた。自分より前にはいなかったようで、後ろにどれくらいいたのかはわからないが。おそらくモノノフの方々が最も多く、ついで超特急のファンのみなさんが多かったように思う。逆かもしれない。私の周りは女性が多く男女比的には新感線を見に行った以来のマイノリティ状態だった。大阪の中継会場でインタビューされていた2人の女性も超特急のファンだった。女性でもモノノフの方はいたし、私の左隣の方々は内さんのうちわを持っていた。

少数派かつ最初ということで探り探りだったため、Juice=Juiceのパフォーマンスはコールはなく、メンバーへの歓声もなく大人しい鑑賞スタイルだった。場をわきまえていて全然問題ないとは思うし、もちろん曲調の違いはあろうが、佐々木さんの時のファンの方々の声はよく出ていて、人数の関係もあって完全に会場の雰囲気があーりん仕様に醸成されていた。私も元「ANGEL EYES」会員でもあるので一部のコールに参加した(そもそも全部10年以上前の曲だ)。ちょっとJuice=Juiceでの声援が足りなかったかなと遡って考えて申し訳なく思ったりもした。まあでも超特急も内さんも普段はもっと黄色い声援が飛んでいるのだろうし、モノノフが強すぎるのだとも思うが。

座席はとりあえず上から順に応募したらSS席が当たって、しかも行ってみたら3列目相当の中央ブロックだった。せっかくオーケストラの演奏とJuice=Juiceの歌唱のマッチアップを楽しめる企画ではあるのだが、Juice=Juiceが間近すぎて、それぞれのメンバーの発する視覚的な情報があまりにも多く、結局オーケストラがあんまり耳に入ってこないのが難だった。それと一部のメンバーの緊張感も特に冒頭は伝わってきて、アウェーの地で戦う選手を応援する気持ちにもなって妙に手に汗握ってしまった。

「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?

これは生演奏での歌唱というとうたコンで披露したことがあって、イントロはちょっとそれを思い出した。真横に並ぶ&近いので一度に見られるメンバーが少ない、首を振りながら見る。

松永さんの実物のオーラ。格好良かった。こんにちは、こんばんはーとMCでもたついていたのがかわいかった。

工藤さんは目力が今日も素晴らしかった、結構目があったがその真剣な眼差しの時だったので勝負しているみたいだった。

遠藤さんは仰角だったのもあると思うがでかい。その大きな動きが見られて良かった。

石山さんは緊張の面持ちだったがだんだんほぐれてきてからは美しさが際立っていた。額が丸いのがわかった。

植村さんは髪色がまた落ちてきて美しいアッシュグレーになっていた。こんなに近くで見るのは最後かもしれない。

Future Smile

曲前のMC、有澤さんのカタコトで会場内笑いが起こる。自分がそれに慣れていることに気がつく。それはそうとしてバイオリンソロ。今回は電子ではなく通常のバイオリンだったのが貴重だった。気合いが伝わってきた、動きも凄かったし音の厚みも。ソロのあとに会場全体で拍手が起こっていて我がことのように嬉しかった。音源ではバイオリンソロ以外ではホーンセクションがメインの印象がある曲をストリングス中心のオーケストラで聞くのは新鮮だった。

BPMがオリジナルより遅めだったのでおそらくテンポを変えて歌うことになれてないメンバーは少し歌いにくそうに見えた。

がんばれないよ

これは原曲がもともとオーケストラが想像つきやすい編曲だが、想像した通りで違和感がなかった。後半の盛り上がりはフルオーケストラならではで、当時より人数も増えたJuice=Juiceのユニゾンの厚みと合わさって、感動的な響きだった。

遠藤さんは最後の方泣いていたようだった。全体的に緊張しているのか表情が固かったけれども、この時は歌詞を口ずさむ表情がさらにちょっと険しくなって、涙が見えていた。演奏全体に対する感動だろうか。それと2番で工藤さんと2人で歌うパートがあって、認識していなかったがとても良かった。

 

最後の曲前のMCでところどころで「えー」が起こる。「ここでもやるんですか?」といいつつしっかり再度しっかりしたものを要求するのが植村リーダー。恥ずかしそうにしつつ、嬉しそうに爆笑していて幸せ空間だった。

次の超特急のお二人の時も最後の曲との言葉に会場が「えー」をやっていて(普段は最後の曲ですというと盛り上がるらしく、お客さんはその発言で歓声をあげるのもやっていた)、文明の衝突が起きていて楽しかった。

Magic of love

イントロが予想外なアレンジで(よく思い出せないけど)楽しかった。みなさん会場手拍子してくれていて良かった。基本的にはオリジナルにあるストリングスを生かした編曲だったと思う。元々色々なところで色々なことが起こる曲で見るのが大変なところ、左右に広がっているしオーケストラだしそれを前列で見ていて角度も情報量も普段以上だったため処理しきれなかった。ともあれこちらの曲も終盤の音の圧力、空間の支配がすごくて、スピーカーから出ている音だけではない魅力が感じられた。

ここだよりさち、周囲にはほぼJuice=Juiceファンがいなかったため結構勇気が要った。会場全体ではどうだったのかな。本人に聴こえていれば良いけれども。

 

オーケストラの演奏はもちろんだが、段原さんの声を初めとしてJuice=Juiceの声がコンサートホールによく響いていた。スピーカーの位置も絶妙なんだろうと思う。

ドラム、ギター、ベースの走者もそれぞれいて、その演奏があることでオリジナルの雰囲気が出るし何より歌手が歌いやすそうだった一方で、あまりそれが前面に聴こえてくるとオーケストラっぽさが損なわれるというのはBEYOOOOONDSのものを聴いていても思ったことだった。とは言え、原曲のシンセとか打ち込み音が同期で入ってくるような状態とは違った生としての魅力が確実にあった。

風といっしょに

植村さんはこの曲知っていたか聞かれて「多分生まれた年の曲です。98年」他の人は?と聞かれてここから先は生まれてませんという答え。自分も一緒に驚いてしまった。そうか。みなさん最近生まれてこの状態なんだな。ポケモンの楽曲なので遠藤さんは知っていたみたいだ。

植村さんは小林さんの隣だったのでオフマイクでいろいろ話しかけられて楽しそうでもあり大変そうでもあった。

だいぶ予定より進行が遅れていたようだが(かなり前半の時点で7分押しと言っていたし後半の演者はよく喋っていた)、なんとか9時前に終わって遠藤さんも最後まで姿を見せてくれていた、良かった。

最後は一列でゆったり歌っていたのでみなさんを近くからよく見られた。

植村さんの口の形を初期のメンバーが絵に描くときω型にしていたのを思い出した。今日はそんな感じに見えた。段原さんはいつ見ても印象が安定しているし、表情も柔和だ。工藤さんが今日はメイクがいつもと違うのかなんなのか、ブログに出てくるオフの時の雰囲気に近かった。目の輝きがすごい。

井上さんの顔立ちの美しさを改めて目に焼き付けられたのを初めとして、とにかくメンバーの皆さんがそれぞれに美しいのを感じられたというイベントの趣旨と関係ない収穫があった。遠藤さんも最後の登場時は緊張が解けていたようで穏やかな(ちょっと眠そうな?)かわいらしさがあった。やはり斜めから見るのが特に好きかもしれない。

 

出てくる人がさまざまなベクトルでとにかく歌が上手かった。マイクの使い方も様々で、中川さんのマイクの距離の変化とか興味深かった。ソプラニスタの木村さんは超特急の方も言っていたのにも似るが何か浄化する力のありそうな声だったし、小林幸子さんの「おもいで酒」はなんかもう全てのフレーズが煮詰まっていて濃かった。ツィゴイネルワイゼンのイントロは有澤さんはきっと興味深く聴いたことだろう。あーりんはフィクショナルな存在感は失われないままひたすら歌唱が安定していた。

Juice=Juiceがトップバッターだったのも納得の内容だったので、またメンバーが聴いた中で色々と得るものがあって今後に生かされてくれたらいいなと勝手に思っている。