この世のもの

見たものと考えたこと

映画『はちどり』

日常を丁寧に切り取った、ような映画を想像していたけれども、画面構成も物語も作り込まれている。隠喩、象徴、伏線など作者の意図を汲み取りきれているという自信は全然ない。舞台は94年だけれども、94年に見えるようにというよりも、基本的には当時も今もありそうなものでできた世界を作り出してそれを舞台にしている感じだった。

俳優の表情が大抵のことを伝えている。もしくは、姿勢とか、後ろ姿とか。ウニ役の人の眼球演技も興味深かった。

何にも定まっていない自分で身の回りに対峙しないといけないときの大変さやもどかしさが描かれていると感じた。ウニがぶれぶれなことそれ自体に心を打たれる。