この世のもの

見たものと考えたこと

小野田華凜さんと前島花凛さんの「りん」は違う字

感想を書こうと思って変換するときにどっちだっけ?となって気になったので調べた。

そもそもどちらも常用漢字ではない。人名用漢字だ。漢和辞典を引くと「凛」は俗字とある。通常の字体も俗字も認められているというのは妙な感じがするけれども、詳しくはリンク先でよく分かる。

 

dictionary.sanseido-publ.co.jp

近年の常用漢字人名用漢字の追加というのは方針が一貫していなくて、「常用」「平易」という言葉も空洞化していて、字体と字形の区別も曖昧になり、別に漢字の専門家でも有識者でもない、ちょっと興味と愛着のある程度の私も暗澹たる気持ちになる表が完成している。

ちなみに意味としては冫という部首から想像つく範囲で、「身にしみて寒い」だ。Wiktionaryでも調べられる。

凛 - ウィクショナリー日本語版

名前に使うときは凜とした、とか凜凜しい、とかのイメージだと思う。もしくは音の響きのみだろうか。見た目もほとんど同じ、画数も同じ。名付ける方々はどういう基準でどちらの字に決めているのかが気になる。

なお、アンジュルムの川名凜さんは小野田さんと同じ方の字だった。

 

 

最近のつばき新メンバーのこと

いつまでも新メンバーというのも何なのだが、2期(3期?)とか括られてはいないし、3色団子的な呼称もないので困る。

ひなフェスも生中継があったし、最近公式のYouTube番組にもMC含め出ていることが多かった。時系列もおかしくなりそうだが、書きたい。

行くぜ!つばきファクトリーメジャーデビュー5周年スッペシャル完全版

寸劇はなかなか見る方もカロリーが要るものだったが、スタジオライブは非常に楽しめた。

4人ともどんどん場馴れしていて、表情が柔らかくなっている。

歌唱も本来の声の良さが出るようになってきていて、武道館公演で歌った「うるわしのカメリア」を再演していたのだが段違いに良かった。真琳さんのウインクも決まっていて、破壊力があると言われて「じゃあ何かを破壊したいときは」と言っていたのがおかしかった。

加入後のシングル曲も、どんどんレコーディングで聴ける声に近づいてきている。河西さんはどれくらいビブラートをコントロールしているのかわからないけれども、歌う度に微妙に違う味わいを出している。真琳さんがライブでの歌の安定では出遅れていた感じがあるのだが、だいぶ迫ってきている。豫風さんもどんどん迫力を増している。打率が高い。「約束・連絡・記念日」の「だから」は豫風さんのが一番好きです。「だから」と言えば、八木さんは曲によっては音源以上に力が入っていて、どこまで行くのか興味深い。

「今夜だけ浮かれたかった」には八木さん豫風さん河西さんにそれぞれソロパートがあり、どれも良い。これは「真夜中にハロー!」でも印象的だった。

どの曲でも、歌詞を反映した八木さんの表情の変化が面白いしかわいい。ソロDVDがほしい、最近は作ってないのかな。河西さんは横顔、斜めの顔の説得力がすごい。結構アイコンタクトをとったり、相好を崩す場面もあって余裕が出てきている。真琳さんはこの時かなり髪が長くて、顔に絡みつくのが美しい。表情のバリエーションが豊富で、日本語の語彙になさそうな感じだ。笑顔にも色々あるので、一度佳林さんに解説してほしい。本人でもいいけど。つげ義春漫画の登場人物っぽい時もあるし、見下す感じの表情の時もあったり、異常にかわいかったりするので気が抜けない。

一部のメンバーの歌唱については、ついつい小片さんの実力診断テストでのコメントを踏まえて見てしまうが、それにしても歌唱面での岸本さんの比重が大きくて、Juice=Juiceの高木さんどころではない。将来に向けては今の新メンバーがカバーしていってほしい。

アンコールでの真琳さん「5周年ということはそれだけ応援される意味のあるグループだ」ということコメントが強かった。要所要所でのコメント力よ。冒頭の自己紹介では「青椿」を名乗っていた。

アプカミ


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MCはリーダーと新人のペアなのだが、2人とも話し声が落ち着いていて和む。真琳さんのコメントは的確で、夢羽さんのレコーディングについての感想とかは特に。

さて、河西さんのレコーディングが取り上げられるのは2回目だけれども、やはり前回の「涙のヒロイン降板劇」が好評だったのと、送り手側も見せたいのではないかと思う。今回の「ガラクタDIAMOND」は一番最初のレコーディングだとのこと。音源を聴く限りは重要な歌割を担っているし、歌唱も安定しているしで全然そうは思えないのだが、映像を見てようやく信じられる。メイクの薄い河西さんの生き物としての美しさがすごい。その一方で両手でリズムを取るのが猫手になってるのがかわいい。そして声が澄み渡っていて、ハロプロ研修生を見ていても思うけれども、リズムは後でどうにかするとして、まず声を重視して人を採っているように思える。テイクを重ねるごとにどんどん表現が向上するので、ディレクターの山尾さんも楽しそう。踊ってるし。妙に元気なサビもこれはこれで良い感じだ。

ハロ!ステ


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つばきファクトリーのコンサートツアーはチケットが買えず行けないので(武道館には行く予定だが)、こちらで見せていただけてありがたい

「夜空の観覧車」は新体制では初めてではないだろうか。12人もいるので歌割が希少になるわけだけれども、4人とも見せ場があった。そもそもこの青白のツアー衣装がとても良い。いまのつばきファクトリーのイメージにぴったりだ。殊に河西さんのヒロイン感がすごい。八木さんと真琳さんは演技力がある、表情にストーリー性がある。八木さんは左右非対称の髪型も格好いいし、間奏のアップのシーンとか「八木さん…!?」と思ってなんども見返してしまった。そして豫風さんは曲中もっとも上手いと思った歌割だった。加入時から上手かったけれどもより安定してきている。

続く、か。

Hello! Project 研修生発表会 2022 ~春の公開実力診断テスト~ を配信で見る

ハロプロ研修生の実力診断テストは去年に引き続き、オンラインで観覧、投票できる。今年は中野サンプラザで有観客なのだが、オンラインを残してくれてありがたい。配信チケット高すぎないかと思ったが、去年はGOTOイベントという謎システムで安く感じていただけだった。しかし、私も観覧した2013年の初回は中野サンプラザで3,500円だった、今購入記録見たら。今年は入場は5,000円だ。市中はデフレだとか原油高で物価上昇とか円安とか色々あるが、ハロプロではインフレが着実に起きている。

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宮本佳林 LIVE 2022春〜アメジスト〜 於メルパルクホール大阪

昨年のツアーから約半年、春というよりは初夏だが宮本佳林さんのツアー初日を見に行った。メルパルクホール大阪は初めて。東京の方は2013年6月の生タマゴShowを見た。それほど大きいところではなく、1階後方だが遠くは感じなかった。今回も1つおき、半分の客席使用だが、今後フルに使用するとなった場合、大阪はどれくらいの会場になるだろうか。

アメジスト紫水晶。佳林さんはソロになってからも葡萄色(って書くともっと本当は茶色っぽい色になるのだが)からの流れで紫を自分の色としている。紫を出しちゃったので、宝石シリーズは続けづらそうだ。石言葉は愛情だそうで、今回のコンサートのテーマは、だから愛情だ。

衣装など

衣装は白黒のストライプを基調としたもので、ショートパンツだったのだが太ももの装飾(何て言うんだろう)がどうしても目に留まる。冒頭はハットをかぶっていて似合っていたが、1曲で脱いでいた。途中で衣装替えがあって、紫のザ・アイドルなフリル多用のものに。相変わらず、こういう衣装を着ても滑稽さが生まれないのがすごい。アンコールでは販売しているTシャツのアメジスト柄のところにスパンコールをつけたものに、白ジャケット(背中に謎の絵柄、luxuryとか書いてあった)。髪型は短いながらも編み込みやウェーブもかけてあって、耳飾りもメイクもキラキラしていた。

新曲とお知らせ

昨年、12月にTBS After 6 Junction出演した際、春にアルバムが出るというお知らせがあった。ブログにも告知があったのだが公式サイトに出ることはなく、そのままになっている。こちらとしては佳林さんからお知らせがあると言うとついそれを期待してしまって若干の落胆が生まれてしまうので、延期や中止であればそれを教えてほしいなと思う。そういえばJuice=Juice ワールドツアーのタイとアメリカも告知ないまま消滅していたな。

ともあれ、本日のお知らせ。セカンドシングルが6月に出る。6月といえばもう来月だ。急な時は急。今回は両曲が一気に披露された。「なんてったってI LOVE YOU」はポップな曲調なのだが、一聴しただけでは覚えられないいびつな曲調だった。途中の展開で意識が飛んだ。難しい、虎視タンタターンくらい。作詞は「規格外のロマンス」の人だ。作曲編曲は知らない人だったが、IDOL M@STERとかの曲を手がけているようだ。ハロプロ研修生がバックダンスをしていて、MVにも参加しているとのこと、こちらも「規格外のロマンス」方式だ。「ハウリング」はどちらかというと暗い曲調で、デジタルな編曲だがメロディ自体は歌謡曲っぽい。公式情報では「エスニックな弦楽器をブレイクビーツに乗せたサウンド」。歌詞は覚えていないのだが、サビでとにかく「嫌い。嫌い。」と言っていた。児玉雨子さん詞。前傾で歌っていたのが印象的だ。作曲はMOJとあるので、法務省のキャンペーンソングなのかもしれない。

などと言うことはなく、7月に上演される音楽劇のテーマソングだそうだ。歌詞の内容からストーリーを妄想してみてほしいと佳林さんが仰っていて不甲斐ない気持ちになる。音楽劇についても公式で発表がされている。「悪嬢転生」で、脚本は「タイムリピート」の人なのだが、「何度も何度も永遠にくり返される、悪嬢への転生。」って、あれ…? ともあれ東京でしか上演されないので計画を立てなければならない。

新曲はどちらも7~80年代の歌謡曲を連想させるものだった。本人はボカロ的な音楽を好んで聴いているようだけれども(全然追えていないので良くは分からない)、自身ではそう言った曲調や制作陣で歌うと言うことは案外ない。元々のアイドル歌謡的な嗜好を基調にしていこうと言うことなのかなと思う。新曲のあとに、森高千里の「やっちまいな」を歌っていたのもそんな流れであった。このカバー好きだし、声質が全く違うので別物として楽しめる。森高千里曲はどんどん歌ってほしい。

シングル以外にも新曲があって、「自分ファースト(表記不明)」という百合子が脳裏を過ぎるタイトルのロック曲だった。ソロ歌手にふさわしい楽曲で、完全に客にコールさせるべく構成された演出だったので、今後の情勢次第ではコンサートで非常に盛り上がると思う。コーラスに中島卓偉さんの声が入っていたように思うので多分卓偉曲だ。

オリジナル曲

セットリストはオリジナル曲とJuice=Juice曲とカバー曲の混成で、それは最初のソロツアーのKaringからそうなのだが、オリジナルが増えてもあまりその比率が変わっていないようだ。Juice=Juiceの曲はオリジナルが足りないからではなく、歌いたくて歌っているのだなと(もちろんファンサービスもあるだろうけれども)分かってきた。シングル曲以外にも配信曲、自作曲、ライブでしか披露されていない曲など曲も増えてきているので、実際一度のコンサートで歌われない曲も増えてきている。

今回は「規格外のロマンス」「どうして僕らにはやる気がないのか」のシングル曲を前後に配置してオリジナル曲も数曲歌っていた。何しろ音源化されていないので今ひとつ覚えられていない。M-line コンサートのDVDをやはり買うべきなんだろうか。どうにも他の出演者に興味が生じていないので買うに至っていない。「イイオンナごっこ」は前回のツアーで披露されて以来で結構好きで、これはバースデーイベントDVDに収録されている。佳林さんの主人公なりきり路線が楽しめる。この曲を含むブロックでは珍しくヘッドセットマイクを使用していた。カバー曲(誰の曲か分からなかった、月島きらりかな*1)を含めてダンスを見せたいと言うことだと思うし、実際に、より振り付けの意図がわかる美しいパフォーマンスだった。ライブとMVでダンスの印象変わる曲とかってありますもんね。その他、「若者ブランド」「HAPPY DAYS」など。「HAPPY DAYS」は特に覚えられていない…。

アンコールでの「落ちこぼれのガラクタだって」はKaringからやっている曲で、コールをしなくても一体感が出るので今の情勢だとありがたい。

それにしても、まとめて音源として聴くことがコンサートに行くことと並立して私には重要なことなのだと思える今日この頃なので、どうにかならないかしら…多分terzoを聴きまくってるからだな。

Juice=Juice曲

terzo」発売記念かどうかは分からないが、「プラトニック・プラネット」が最初の曲だった。前にも歌っていたが、どう考えてもソロで歌う曲じゃない。この曲が佳林曲である所以のスキャットがメインを歌っているのでできないのが隔靴掻痒ポイントだが、今歌う意味が感じられた。同じブロックで、「大人の事情」、NEXT YOU曲だ。ドラマ「武道館」はドラマとしての出来もさることながら、共演陣が次々と不祥事で消えてゆくのには驚かされているが、曲の良さは損なわれない。この曲を歌うときの佳林さんはもう一段階スイッチが入るような感じで、エモーショナルになる。つんく曲でも特に相性がいい気がする。コンサート序盤だったが感極まった。

「ポップミュージック」は昨年もやっていたはずだが、今回は特に楽しかった。ハロプロ研修生がマイク持ってバックダンスをしていて、ねぇねぇ隊ならぬポッポ隊になっている。オリジナルのコーラスはだいぶオケから省かれていて、佳林さんと研修生の作る世界に巻き込まれた。「鳩」の歌い方がいちいち面白い。タピオカミルクティーも声出てました。ハロプロ研修生は「Fiesta! Fiesta!」でも歌っていた。佳林さんの「情熱を解き放とう」はあくまでも裏返らない。間奏のダンスはオリジナルで、まだ試行錯誤中な感じだったが、研修生からのマイクの受け取り方が面白かった。小野田さんが献上品みたいに渡していた。

「Borderline」はソロで見るのは初めてだろうか。記憶が定かではない。コーラスも佳林さんの音源になっていた、はず。こちらもterzo収録曲だ。これが披露されたTRIANGROOOVEの映像はいつ見ても感涙を伴う。その時とは歌詞の響きがまた変わってきて、より私小説的に思える。

ハロプロ研修生

去年のコンサートでは増員前のハロプロ研修生ユニット(今は2.5倍に増えてOCHA NORMAになった)がバックダンサーをしていた。今年はメジャーデビューも決まった彼女達に変わってまたハロプロ研修生が参加。松原ユリヤ・小野田華凜・橋田歩果・村越彩菜の各氏で、ちょっともう研修生の加入時期とか年齢とかが全然なのだが、松原さんは折々で見かけている、長くやっていてもう足掛け6年だ。でも14歳。小野田さんも村越さんも14歳で、橋田さんが16歳。最近はデビュー年齢が徐々に上がってきているので、佳林さんや一岡さんのような悲壮感はないんじゃないかと想像する。どう選ばれたのかはわからないけれども、背丈が佳林さんに近い方々で、5人並んだときの見た目が揃っていて良かった。コーラスで参加していたり、Juice=Juice曲では振り付けの一部を担っていたり、ダンスパフォーマンスを披露していたりと要所要所を占めていた。佳林さんもメンバー紹介の際に触れていたが、5月はの1,2日とコンサートに出演して、3日に実力診断テストというのは相当きついスケジュールだったと思うのだが、全く練習不足という感じのしないパフォーマンスで素晴らしかった。松原さんは手足が伸びていて、ダンスも歌唱も安定している。流石のベテランという感じだった。

橋田さんは大晦日にちょっと見たくらいでしっかり見るのは初めてだったが、YouTubeとかのコメントでも人気だし、去年の実力診断テストでもアイドル性の高さが印象的だった。橋田さんは果たしてとにかく良かった、かわいかった。不思議なダンスをする人で、他のメンバーと当然同じ振り付けなのだが動きが柔らかく、キレはないけど美しい。指先の使い方とかも印象的だった。あとは、おそらくは手足があんまり長くないのが全体的な動きのかわいさに繋がってるんだと思う。ここ2年の実力診断テストでも自己のしっかりした姿は見てきたが、今回もセルフプロデュース力を感じた。このまま貫いてほしい。研修生は今回の衣装がかわいくて、白いマントのような、後ろから見るとドレスのようなジャケットを着ていて、それもよく似合っていた。最後のメンバー紹介の際の手の振り方がもう研修生ではなかった。なんなら稲場さんの抜けるJuice=Juiceに入ってくれないだろうか。宮崎賞受賞者でもあるし。

研修生はオリジナル曲をいくつか歌っていて、3曲目「きみの登場」でちょっといつもより曲数多いなと思っていたら佳林の登場だった。研修生曲をハロー!のメンバーやOGが歌ったときの貫禄とか迫力を見るのは好きだ。やはり同じダンスをしていても佳林さんの力の抜け具合、動きの美しさは圧倒的だったので、研修生も学ぶところ大きかったと思う。

 

ソロになって3度目のツアー、今回は特にあっという間に感じた。なぜだろうか。

まずはシングルの発売を楽しみにしたり音楽劇いつ行くかに頭を悩ませたりすることになるとは思うのだが、アルバムやライブ映像の発売もしつこく心待ちにしたいと思う。

 

01.プラトニック・プラネット[Juice=Juice]
02.規格外のロマンス
03.大人の事情[NEXT YOU]

MC 

04.なんてたって I Love You
05.ハウリング
06.やっちまいな[森高千里
07.ポップミュージック[Juice=Juice] 
08.Rainbow/ハロプロ研修生

MC ハロプロ研修生

09.色とりどり伸びよ!!/ハロプロ研修生
10.きみの登場/ハロプロ研修生
11.ラッキーチャチャチャ![ミニモニ。
12.イイオンナごっこ
13.若者ブランド 
14.HAPPY DAYS  
15.ダンストラック 
16.Fiesta! Fiesta![Juice=Juice] 
17.Borderline[Juice=Juice]
18.自分ファースト(新曲)

ENCORE

19.どうして僕らにはやる気がないのか

MC 

20.落ちこぼれのガラクタだって

 

 

*1:ミニモニ。でした

Juice=Juice 3rdアルバム「terzo」の感想②

Disc2のことを書きたい

アルバム曲はJuice=Juiceのライブでは欠かせないものになっており、むしろライブで先に披露されている曲がようやく収録されたのが2ndだったりする。シングル曲では今はほとんど歌われなくなった曲も少なくないが、アルバム曲はほとんど生き残っている、その意味では打率が非常に高く、実際いい曲ばかりだ。さて、前回のアルバムからの3年半のうちの半分以上がコロナ禍だった訳で、その間は当然のように単独ライブは数少なくなっており、今回は「プラトニック・プラネット」というCOVID-19の誕生とほぼ同時に初披露された曲のみが初音源化のライブ曲ということになる。そのほかは(今のライブツアーやひなフェスでは先行披露はされているが)今回のアルバムに際しての新曲ということになるのがDisc 2で、やっぱり良かった。プラトニック・プラネットにばかり気を取られているわけにはいかない。

新曲についてはリンク先の記事を読むと非常に味わい深く聴くことが出来る。入江さん良いですよね。今のJuiceではいちばん目が行くかもしれない。

 

news.yahoo.co.jp

1.GIRLS BE AMBITIOUS! 2022

 クレジット見るまでトラックが新録であることに気づかなかった。打ち込みだったドラムは生になっていて、全体的にリッチになっている。改めてオリジナルを聴き直すと、卓偉成分比が非常に高いが、今回は歌詞にコーラスが重なる部分も少ないためやや控えめだ。この曲はメンバー変遷に伴っていくつか歌詞のバージョンがあるのだが、これは大きく分けると3代目の歌詞と言え、2代目の歌詞はJuice=Juiceとしてのレコーディングはないけれども中島卓偉のセルフカバーアルバムに収録されている。中島卓偉ががんばりまなかんとか叫んでいる珍品だ。初代の歌詞はブロックごとに歌詞の繋がりがあるし、別に自己言及だけの内容でもなかったのだが、モーニング娘。の「女子かしまし物語」同様に自己紹介ソングになってしまった。良いですけど。発売時には稲場愛香さんの卒業が決まっていることもあって歌詞を変更したとのことで、非常に前向きで力強い歌詞になっている。もともとフェイクを担当していた人々は皆いなくなった訳である意味カバーみたいなものなのだが、特に井上さんのフェイクが高木さんとはまた違った太さがあって良い。宮崎さんの巻き舌を受け継いだ江端さんも良い。あと、オリジナルにはない、入江さんの突然のシャウトが聴き所。入江さんはここをひなフェスでも完璧に決めていて、記事にもあるが全然緊張しない人らしく、その辺も紫の系譜だ。ちなみにオリジナルメンバーのコーラスが使われており、ある意味では宮崎さんもいる点でよりUltimateだ。

2.POPPIN' LOVE

 山崎あおいさん作詞、「年下の男の子」みたいな目線の曲だ。スウェーデン関係の人々の作曲だと思うのだが全然名前が覚えられない。どの曲と一緒なのだろうか。さて、いよいよ新体制のJuice=Juiceという感じで、正直聴いてて歌ってるのが誰かわからないところだらけで、オリジナルメンバーの頃はぼーっとしてても誰が歌っているのか分かったのだが、新メンバーの声がまだ耳に馴染みきっていないのもあってお手上げだ。歌い方を曲調に合わせて自在に変えるメンバーが多いのもあると思うが。なんかもう全部松永さんに聴こえてきて、セリフのところも記事を読むまで松永さんだと思ってた。あと歌割が細かいのもある、Bメロ?とか2文字ずつくらい分けてます? 「価値観・趣味 違ったって」の妙に棒読みな歌は誰だろう?気に入っているのだが。 これはライブ映像を早く見たい、多分振り付けもかわいいし、というか本当はライブを見たいのだがチケットが買えていない。ファンクラブに入り直すタイミングが遅すぎた。

3.STAGE~アガッてみな~

ひなフェスでも披露していた曲、アレンジが平田祥一郎氏で、これは一聴して1stアルバム収録の「CHOICE&CHANCE」を意識したものだと分かる。同曲は井上さんが加入後にボイスパーカッションを加えて更に格好良くしたわけだけれども、 この曲もボイスパーカッション入りだ。そう思うと「CHOICE&CHANCE」の新録もAdditional Trackとかでそのうち出してほしい。こういうアジテーションな歌詞というのはつんく氏が初期Juice=Juiceに託してきたものな気がして、あーJuice=Juiceだなーと思う。あまり私の人生はこういった歌詞に影響を受けないが、彼女たち自身が後押しされているのが分かってファンとしては好ましく思える。

4.Mon Amour

1stのカバー曲では3・2に分かれて収録している曲があったが、それ以外ではJuice=Juiceにおいてユニット曲というのは初めてだ。 こちらは20代4人の曲。この曲をこのメンバーで何回歌唱するのかと思うと切なくなる、さくら学院の中3曲みたいだ。直球のタイトルで、曲調はおとなしいFiesta! Fiesta!みたいな感じ? こちらは歌割が長めで、8小節ずつくらいあるのでありがたい。やっぱり自分の歌割というのは上手い、何しろレコーディングで良かったところなのだから。この曲の白眉は個人的には2番の冒頭、2人ずつ歌っているところで、段原井上ペアと、植村稲場ペアはどちらも相性が良くて心地いい。それにしても稲場さんは完全にJuice=Juiceの要になっていて、加入時には変に力が入ってしまっていたのが嘘のようだ。

5.ノクチルカ

ノクチルカってワナノマリラ的なものかと思っていたら夜光虫のことだった(Noctiluca)。1st, 2ndに続いて今アルバムにも松井寛曲が。ハロプロにそれほど多く提供しているわけでもないのにこの連鎖は非常に嬉しい。今回はハロプロでは初の作曲もということらしい、TOKYOグライダーも作曲していると思い込んでたがあちらは星部曲だった。編曲のテイストもTOKYOグライダー的で、今のJuice=Juiceはクールな声の人が多いのでこう言った曲は向いている。とか言っておいて結構誰かわからないところがあるのだが。2番のAメロとか、どの声もいいけど今ひとつ確信が持てずに聴いている。ともあれ段原さんと井上さんの声がユニゾンでもどんどん飛び込んで来る。これもライブで見るのが楽しみ、タコちゃんがきっと間奏で踊り狂っているはずだ。

6.G.O.A.T.

ヤギ?八木?と思うが、"The Greatest Of All Time"らしいです。 恋愛ソングだけれども、今のJuice=Juiceが史上最高と言い続けてきたグループなので、当然その意味をこのタイトルからは読み取りたい。これまたスウェーデン勢だ。歌詞を分けて重ねるようなコーラスワークが多くて、人数が多い今の状況を生かしている。歌割も細かい。植村さんが上手くてびびる。1番の終わりの「ヒーロー」が何度聴いても梁川さんなのだが誰だろう。珍しくフェイドアウトで終わる曲で、遠ざかりながらも個々のフェイクが楽しめるのだが、ライブだとどういう終わり方になるんだろうか。どうにせよ、終盤の展開は見たらたぶん泣くと思う。

7.雨の中の口笛

10代の皆さん。歌詞にも相合傘と出てくるように、曲想が1stの「愛・愛・傘」に通じる。年齢的にも当時のJuice=Juiceに近いし、何しろ5人だ。改めて聴き直した「愛・愛・傘」の名曲ぶりに驚いた、歌割が完璧で植村さんの当時のよりイノセントな裏声が心に迫るものがある。こちらの「雨の中の口笛」は他の曲とは違った抑えた歌い方をしていることもあり、まだ聴き分けがつかない。新メンバーが急速に上手くなっているのもあると思う。繰り返し聴くうちにだんだん分かってきたけれども、有澤さんの裏声とか、江端さんの高めの音程とか、入江さんの呟くような歌い方とか、新たな発見が色々ある。全体としてはやはり冒頭を含め、松永さんと工藤さんが引っ張っている。chorusにクレジットされているのは松永さんだけなので、かなりたくさん録っていると思われる。レコーディングも見てみたい。口笛はシンセサイザーかな。

8.プラトニック・プラネット(Ultimate Juice Ver.)

ラジオでかかっていたのを最初に聴いた時にはラストの宮本さんでちょっと泣いてしまった。この曲は初披露の代々木体育館にいたのだが、その後に映像を見すぎて記憶が上書きされてしまっている。音源化されないままライブの定番曲になっているので、当然その時時のメンバー構成で歌われてきており、現メンバーでもYear End Partyで歌っている。2ndの時の「この世界は捨てたもんじゃない」他2曲のように、アルバム発売時のメンバーでの歌唱が収録されるかなと思っていた中で、初披露時以降の歴代全メンバーがクレジットされていたのを見た時は体温が上がった。歌割はオリジナルと現状の折衷のようになるのだろうと聴いたのだが、新たにソロパートを作ってまで全メンバーにソロパートがあるという構成で、想像以上にUltimateだった。色々な意味で歴史的な音源になった。折角なので、新メンバーに関してはライブでもソロパートを再現して欲しいものである。数人のユニゾンのところで一部、歌っているメンバーに確信を持てないところがあるのだが、このバージョンについては映像で確認することもできないので、謎のままだ。

 

何度も書いているが今のコンサートツアーのチケットが買えなかった。宮本さんが卒業された時点でファンクラブの更新をしなかったせいであり、去年の大晦日に再加入を決意したのだが遅かった。Juice=Juiceへの関心がこの期に及んで高まっている。宮崎さんが段原さんにはいずれリーダーになってほしいとどこかで昔言っていたが、それも遠い未来でなくなってきた。江端さんがセンターで歌い踊る姿も。

Juice=Juice 3rdアルバム「terzo」の感想①

アルバムタイトルは英語、スペイン語と来てイタリア語です。


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アルバムがいつ出るかと言うのは予想がつかないところがあるのだが、前回のアルバムからは3年半ほど経っている。1枚目から2枚目の変化というのは3人加わったというものだったが、今回は5人が卒業・脱退し、6人が加わった。梁川さんの卒業がメジャーデビュー後は初めての卒業だったのだが、それがまだ3年前のこととは信じられないほど色々あった、その到達点が今回のジャケットの9人で、眺めると改めて感慨深い。稲場さんが加入して最初のリリースが前回のアルバムで、最後のリリースがおそらくこのアルバムであると考えると、「terzo」は稲場愛香さんのJuice=Juiceでの歴史をまとめたものとも言え、そうすると禁断少女なども入れたくなる、発想が間違っているが。その稲場さんのメンバーカラーであるホットピンクと植村さんの緑がテーマカラーになっていて、ジャケットでの衣装も全てこの配色だ。植村さんに何かあるのではと邪推してしまう。ともあれ、3作を通じてジャケットに写っているのは植村さんただ1人である。

2枚組なのは今までと同様、前回の「¡Una más!」ではついていなかったディスク名称がついている。「The Best Juice 2019-2022」と「The Brand-New Juice 2022」で、1stを意識していることが分かる。1stの時はDisc1がつんくプロデュースのシングル、Disc2はつんくがプロデューサーでなくなってからのシングルとアルバム新曲だった。この時は確かアルバム新曲7曲くらいをライブツアーで一気に初披露(チクタク 私の旬は中野で先に披露) していた。無茶をする。初回盤特典でカバー曲Disc(ジャケットが驚異の1色刷でスーパーのチラシみたいだった)があって、Magic of Loveとかはこちらで聴ける。2ndは配信シングルの再録とかライブ披露曲とかがあったのでDisc2の構成がちょっと複雑で、Disc 1はシングル曲なのだが、時系列が逆順だった。今回は配信曲はないし、ライブ曲もAddtional TrackでCD化済なので分かりやすく、Disc 2には新メンバーが全曲参加している。

Disc 1

シングル曲がリリース順に並んでいるので、構成メンバーの変化も同時に味わえる。宮崎さんとか梁川さんはJuice=Juice歴代の中では歌が上手い方ではなかったけれども、やはり声が特徴的だった。特にオリジナル5人の声のバランスの中での宮崎さんの声というのは貴重だったなと改めて感じる。9. BorderlineはTRIANGROOOVEでの初披露の印象が強いので、どうしても時系列的に違和感があるけれども、収録メンバー的には間違っていない。オリジナルの録音も音源化してほしかったが、ライブ映像を見ましょう。11.続いていくSTORYから12.DOWN TOWNでの変化がやはり大きい。ここで宮本高木が抜けているので、グループとしての印象がだいぶ異なるのだが、14.プラスティック・ラブ冒頭の江端さんの印象が鮮烈で、入江さんを含めクールな声質のメンバーが増えていることで完全に雰囲気が変わったなと思わされる。それにしてもシングルにしろこのアルバムにしろ、15. Familiaと16. Future Smileの曲順は逆の方が良かったのでは…。ともあれ、ここからさらに金澤さんが卒業したDisc 2に続きます。

映画「マイ・ダディ」 

公開時、毎日新聞デジタル版1面と2面の間に広告が挟まれていて、繰り返し見せられたこととその感動強調のテイストからあまりいい印象がなかったのだが、中田乃愛さんのデジタル写真集が良かったので配信レンタルで観た。

時間軸をずらして重ねるような最初の展開は混乱を招く語り方になっているが、ひかりの病気と出生が物語の肝なので、重要な話を無駄なく提示していると言えるかもしれない。しかし、その肝の設定に無理があり、頭に疑問符もしくは突っ込みが浮かんだまま見ることになる。江津子は一男にどこまで本当のことを話していたのか分からないが、出会った経緯を考えれば、一男の頭に何らの疑いもなく今まで過ごしてきたと言うのはちょっと考えにくい。江津子が自分を騙して浮気をしていた相手の言っていたことを信じ続けていたのも同様に不自然であると思う。一男が医学的なデータによって打ちのめされるのはともかく、江津子はどうして180°考えが変わってしまったのだろう。

一男とひかりの終盤の会話劇は予想を裏切られるような台詞が多く、面白かった。一男が小栗旬演じる探偵からどれくらいの情報を得ていたのかわからないが(血液のサンプルがあるなら白血球の型も調べられないのかと思うが)、妻に裏切られたと感じているのは当然であろうし、それによる投げやりな気持ちを娘にさらけ出しているのが良かった。ひかりは抜群の記憶力を持っていて、自分の見たものしか信じない。その力強さが一男を動かしたのが痛快だった。

病院、病気の描写は何かしら問題ありそうだけれども、この映画によって骨髄バンク登録者が増えていたら、ある役割は果たしていると言えるのではないだろうか。