この世のもの

見たものと考えたこと

Juice=Juice 3rdアルバム「terzo」の感想②

Disc2のことを書きたい

アルバム曲はJuice=Juiceのライブでは欠かせないものになっており、むしろライブで先に披露されている曲がようやく収録されたのが2ndだったりする。シングル曲では今はほとんど歌われなくなった曲も少なくないが、アルバム曲はほとんど生き残っている、その意味では打率が非常に高く、実際いい曲ばかりだ。さて、前回のアルバムからの3年半のうちの半分以上がコロナ禍だった訳で、その間は当然のように単独ライブは数少なくなっており、今回は「プラトニック・プラネット」というCOVID-19の誕生とほぼ同時に初披露された曲のみが初音源化のライブ曲ということになる。そのほかは(今のライブツアーやひなフェスでは先行披露はされているが)今回のアルバムに際しての新曲ということになるのがDisc 2で、やっぱり良かった。プラトニック・プラネットにばかり気を取られているわけにはいかない。

新曲についてはリンク先の記事を読むと非常に味わい深く聴くことが出来る。入江さん良いですよね。今のJuiceではいちばん目が行くかもしれない。

 

news.yahoo.co.jp

1.GIRLS BE AMBITIOUS! 2022

 クレジット見るまでトラックが新録であることに気づかなかった。打ち込みだったドラムは生になっていて、全体的にリッチになっている。改めてオリジナルを聴き直すと、卓偉成分比が非常に高いが、今回は歌詞にコーラスが重なる部分も少ないためやや控えめだ。この曲はメンバー変遷に伴っていくつか歌詞のバージョンがあるのだが、これは大きく分けると3代目の歌詞と言え、2代目の歌詞はJuice=Juiceとしてのレコーディングはないけれども中島卓偉のセルフカバーアルバムに収録されている。中島卓偉ががんばりまなかんとか叫んでいる珍品だ。初代の歌詞はブロックごとに歌詞の繋がりがあるし、別に自己言及だけの内容でもなかったのだが、モーニング娘。の「女子かしまし物語」同様に自己紹介ソングになってしまった。良いですけど。発売時には稲場愛香さんの卒業が決まっていることもあって歌詞を変更したとのことで、非常に前向きで力強い歌詞になっている。もともとフェイクを担当していた人々は皆いなくなった訳である意味カバーみたいなものなのだが、特に井上さんのフェイクが高木さんとはまた違った太さがあって良い。宮崎さんの巻き舌を受け継いだ江端さんも良い。あと、オリジナルにはない、入江さんの突然のシャウトが聴き所。入江さんはここをひなフェスでも完璧に決めていて、記事にもあるが全然緊張しない人らしく、その辺も紫の系譜だ。ちなみにオリジナルメンバーのコーラスが使われており、ある意味では宮崎さんもいる点でよりUltimateだ。

2.POPPIN' LOVE

 山崎あおいさん作詞、「年下の男の子」みたいな目線の曲だ。スウェーデン関係の人々の作曲だと思うのだが全然名前が覚えられない。どの曲と一緒なのだろうか。さて、いよいよ新体制のJuice=Juiceという感じで、正直聴いてて歌ってるのが誰かわからないところだらけで、オリジナルメンバーの頃はぼーっとしてても誰が歌っているのか分かったのだが、新メンバーの声がまだ耳に馴染みきっていないのもあってお手上げだ。歌い方を曲調に合わせて自在に変えるメンバーが多いのもあると思うが。なんかもう全部松永さんに聴こえてきて、セリフのところも記事を読むまで松永さんだと思ってた。あと歌割が細かいのもある、Bメロ?とか2文字ずつくらい分けてます? 「価値観・趣味 違ったって」の妙に棒読みな歌は誰だろう?気に入っているのだが。 これはライブ映像を早く見たい、多分振り付けもかわいいし、というか本当はライブを見たいのだがチケットが買えていない。ファンクラブに入り直すタイミングが遅すぎた。

3.STAGE~アガッてみな~

ひなフェスでも披露していた曲、アレンジが平田祥一郎氏で、これは一聴して1stアルバム収録の「CHOICE&CHANCE」を意識したものだと分かる。同曲は井上さんが加入後にボイスパーカッションを加えて更に格好良くしたわけだけれども、 この曲もボイスパーカッション入りだ。そう思うと「CHOICE&CHANCE」の新録もAdditional Trackとかでそのうち出してほしい。こういうアジテーションな歌詞というのはつんく氏が初期Juice=Juiceに託してきたものな気がして、あーJuice=Juiceだなーと思う。あまり私の人生はこういった歌詞に影響を受けないが、彼女たち自身が後押しされているのが分かってファンとしては好ましく思える。

4.Mon Amour

1stのカバー曲では3・2に分かれて収録している曲があったが、それ以外ではJuice=Juiceにおいてユニット曲というのは初めてだ。 こちらは20代4人の曲。この曲をこのメンバーで何回歌唱するのかと思うと切なくなる、さくら学院の中3曲みたいだ。直球のタイトルで、曲調はおとなしいFiesta! Fiesta!みたいな感じ? こちらは歌割が長めで、8小節ずつくらいあるのでありがたい。やっぱり自分の歌割というのは上手い、何しろレコーディングで良かったところなのだから。この曲の白眉は個人的には2番の冒頭、2人ずつ歌っているところで、段原井上ペアと、植村稲場ペアはどちらも相性が良くて心地いい。それにしても稲場さんは完全にJuice=Juiceの要になっていて、加入時には変に力が入ってしまっていたのが嘘のようだ。

5.ノクチルカ

ノクチルカってワナノマリラ的なものかと思っていたら夜光虫のことだった(Noctiluca)。1st, 2ndに続いて今アルバムにも松井寛曲が。ハロプロにそれほど多く提供しているわけでもないのにこの連鎖は非常に嬉しい。今回はハロプロでは初の作曲もということらしい、TOKYOグライダーも作曲していると思い込んでたがあちらは星部曲だった。編曲のテイストもTOKYOグライダー的で、今のJuice=Juiceはクールな声の人が多いのでこう言った曲は向いている。とか言っておいて結構誰かわからないところがあるのだが。2番のAメロとか、どの声もいいけど今ひとつ確信が持てずに聴いている。ともあれ段原さんと井上さんの声がユニゾンでもどんどん飛び込んで来る。これもライブで見るのが楽しみ、タコちゃんがきっと間奏で踊り狂っているはずだ。

6.G.O.A.T.

ヤギ?八木?と思うが、"The Greatest Of All Time"らしいです。 恋愛ソングだけれども、今のJuice=Juiceが史上最高と言い続けてきたグループなので、当然その意味をこのタイトルからは読み取りたい。これまたスウェーデン勢だ。歌詞を分けて重ねるようなコーラスワークが多くて、人数が多い今の状況を生かしている。歌割も細かい。植村さんが上手くてびびる。1番の終わりの「ヒーロー」が何度聴いても梁川さんなのだが誰だろう。珍しくフェイドアウトで終わる曲で、遠ざかりながらも個々のフェイクが楽しめるのだが、ライブだとどういう終わり方になるんだろうか。どうにせよ、終盤の展開は見たらたぶん泣くと思う。

7.雨の中の口笛

10代の皆さん。歌詞にも相合傘と出てくるように、曲想が1stの「愛・愛・傘」に通じる。年齢的にも当時のJuice=Juiceに近いし、何しろ5人だ。改めて聴き直した「愛・愛・傘」の名曲ぶりに驚いた、歌割が完璧で植村さんの当時のよりイノセントな裏声が心に迫るものがある。こちらの「雨の中の口笛」は他の曲とは違った抑えた歌い方をしていることもあり、まだ聴き分けがつかない。新メンバーが急速に上手くなっているのもあると思う。繰り返し聴くうちにだんだん分かってきたけれども、有澤さんの裏声とか、江端さんの高めの音程とか、入江さんの呟くような歌い方とか、新たな発見が色々ある。全体としてはやはり冒頭を含め、松永さんと工藤さんが引っ張っている。chorusにクレジットされているのは松永さんだけなので、かなりたくさん録っていると思われる。レコーディングも見てみたい。口笛はシンセサイザーかな。

8.プラトニック・プラネット(Ultimate Juice Ver.)

ラジオでかかっていたのを最初に聴いた時にはラストの宮本さんでちょっと泣いてしまった。この曲は初披露の代々木体育館にいたのだが、その後に映像を見すぎて記憶が上書きされてしまっている。音源化されないままライブの定番曲になっているので、当然その時時のメンバー構成で歌われてきており、現メンバーでもYear End Partyで歌っている。2ndの時の「この世界は捨てたもんじゃない」他2曲のように、アルバム発売時のメンバーでの歌唱が収録されるかなと思っていた中で、初披露時以降の歴代全メンバーがクレジットされていたのを見た時は体温が上がった。歌割はオリジナルと現状の折衷のようになるのだろうと聴いたのだが、新たにソロパートを作ってまで全メンバーにソロパートがあるという構成で、想像以上にUltimateだった。色々な意味で歴史的な音源になった。折角なので、新メンバーに関してはライブでもソロパートを再現して欲しいものである。数人のユニゾンのところで一部、歌っているメンバーに確信を持てないところがあるのだが、このバージョンについては映像で確認することもできないので、謎のままだ。

 

何度も書いているが今のコンサートツアーのチケットが買えなかった。宮本さんが卒業された時点でファンクラブの更新をしなかったせいであり、去年の大晦日に再加入を決意したのだが遅かった。Juice=Juiceへの関心がこの期に及んで高まっている。宮崎さんが段原さんにはいずれリーダーになってほしいとどこかで昔言っていたが、それも遠い未来でなくなってきた。江端さんがセンターで歌い踊る姿も。