この世のもの

見たものと考えたこと

ばってん少女隊

ももいろクローバーZに大学同期と共にはまって西武ドームに行ったりSSAに行ったりしたのはもう10年以上前になる。その後はスターダスト関連で言うと私立恵比寿中学やチームしゃちほこのCDを買ったこともあったけれども、それほど熱心に追うことはなかった。

ばってん少女隊は名前くらいしか知らなかったのだけれども、おそらくアルバム発売が近づいたことによって昨年秋頃にYouTubeのおすすめ動画に「お祭りsawagi」のMVが現れた。空中に浮かぶ岩が映画「Arrival(邦題はメッセージ)」を思わせる壮大なビデオだ。なぜか画面が4:3、映像もアナログ画質風で、エフェクトも80年代MV風だった。

 

その曲も面白かったのだけれども、そのコメント欄に「OiSa」に触れているものがあり、検索してみると2020年の楽曲で、MV再生回数が400万回を超えていた。メジャーアイドルならそうでもないのだろうが、ハロー!でもなかなか見ない数字だ。楽曲自体もMVも非常にクオリティが高く、人気が高いのも頷ける。神社などの日本的なものをテーマにしていることや異形のものが目の前に現れる展開には既視感はあるのだが、映像のトーンが落ち着いていながらも不穏な雰囲気で一貫していて、人が増えたりする凝った演出も面白い。そして瀬田さくらさん(名前は後で知ったけれども)がこちらを見つめているビジュアルが強い。

リリースが近いアルバムについては特設サイトがあり、先行して発売されているシングル曲は聴くことができた。コメントにあった通り、最近の曲はどれも他グループとは一線を画した作りの曲が多く、MVも面白い。当然のことなのかもしれないがロケ地が全て九州であり、魅力的な場所が多いことはこのグループの強みのようである。「OiSa」と同じ楽曲提供者による「わたし、恋始めたってよ」は打って変わって爽やかな曲だが、声にエフェクトがかけられていたり、異なる歌詞が重なるコーラスワークに共通するものがあり、やはり中毒性が高い。

また、これは今やたいていのアイドルがそうなのだが、サブスクリプションで音楽を自由に聴くことができるので、気になったら過去に遡って聴ける。ハロー!もこれをしていればもっと新たな客層を手に入れられるのではないかと思うのだが頑なだ。ばってん少女隊は初期はスカを取り入れた音楽を中心にしていて、ほかいかにもスターダストらしい楽曲とか、なぜか初期相対性理論風の曲などバリエーションに富んでいる。やはり2枚目のアルバムに収録された「Oisa」以降の楽曲に大きな特徴がありそうだった。これはコロナ禍によって観客のノリとか声援を前提にしなくても良くなったことで楽曲制度の自由度が増したのかと思っていたが、それだけでは無いようだ。

リリースされたアルバムはApple Musicでしばらく聴いていたあと、結局所有欲(前世紀の人間なので)が生じてCDを購入した。この「九祭」で一番気に入っているのは「沸く星」という歌で、温泉と宇宙人という異常な世界観の歌詞と温泉につかってリラックスしている状態を思わせるウィスパーボイスの歌声が非常に心地よい。温泉に行きたくなる。このアルバムは楽曲がそれぞれの県を代表していて、「沸く星」は大分だ。長崎の「和・華・蘭」も情景の浮かぶ歌詞だし、佐賀の「さがしもの」もケルト風の曲調が楽しくたまの「れいこおばさんの空中遊泳」を思い起こさせる。年末にかけてはこのアルバムを聴く日々だった。

こうなってくると生の様子を見たくなるのが人情で、11月28日に中野サンプラザホールでコンサートがあった。行けなかったが、配信チケットが販売されていたので、そちらを購入して見た。もっと大きいところを満員にしているような感じなのかと思っていたが、そんなことはなくて中野も売り切れたのは発売してからかなり経ってからだった。結成時にはヤフオクドームでコンサートをというような野望を抱いていたものの、なかなか順風満帆ではなかったようだ。

やはりコンサートでも「九祭」の楽曲は異色で、アルバム曲を集めたパートが設けられていた。「沸く星」が「わくせい」と読むと知る。音源でかなりエフェクトがかかっていることもあってか、ボーカルは音源が流されていたり、「被せ」というのか、音源に合わせて歌っているようなものもあった。つい先頃動画が公開された「さがしもの」はしっかり歌っている。佐賀にいる時に公開されたので縁を感じる。

ステージはハロー!でお馴染みのところではあるのだが、舞台装置が凝っていて、とくに舞台にあるディスプレイの配置と映される画像が作り込まれていた。後は提灯と傘。ステージに2階、3階があるのも、最近のハロー!でばかり中野サンプラザを見ている自分は、コロナ以後のミニマルな舞台づくりに慣れてしまっていて新鮮だった。ディスプレイにメンバーの映像が映るわけではないので、遠い席の人は表情とかはわからないかもしれない。で、カンパチロウさんって何者だ。

中野のライブを見て、アルバム曲をどのようにライブで再現するのかが分かったのと、メンバーの顔と名前がだいたい一致するようになったのが良かった。どうやら結成同時のメンバーが4人、一昨年入った新メンバー(中学生?)が2人のようだ。新メンバーは身長的にも小さいのでなんとなく知らなくてもわかる。

歌い方というか発声が結構みなさん違っていて、どういうふうに教わっているのかわからないが、でもユニゾンだとなんとなくグループの色みたいなのが出ているのが面白い。

希山さん 歌い方は1970年代のアイドルっぽい。不思議な声質。
上田さん スターダストっぽい正統派な感じ。多分一番うまい。
春乃さん 佐々木彩夏さんっぽい。
瀬田さん うたのおねえさんっぽい。
蒼井さん ハロプロ研修生っぽいというか伸び代枠っぽい。
柳さん 声量があって安定している。雰囲気がクール。

歌割はかなり均等に近いように見える。「九祭」は曲によって担当メンバーがいるようなのだが、それと歌う機会の多さの関連性はまだ把握できていない。ダンスが上手いのかはよくわからないが勢いがあり、みなさんヒールが高い。あとはまあ、6人ぐらいだと見やすいですよね。

前述したが、瀬田さんの風貌が「OiSa」MV見た時から気になっていて、私の好きな狐っぽさがある。涼しげな目鼻と立った耳が、ハロプロでいうと嗣永さんとか梁川さん、後は日向坂にいた柿崎さんとかも連想させる(みんな芸能界を引退してしまった)。

4月にある大阪のライブのチケットが取れたので行く予定です。