この世のもの

見たものと考えたこと

「真夜中にハロー!」第9話

今週もJuice=Juiceでした。

冒頭からDream Roadが流れる不穏な展開。

今回はゲストハウスの娘が一応の主人公だった。しかし彼女の内心は多くは語られることなく、母娘の両者の視点を混ぜつつ進んでいく。

後半、わかったふりをして先回りをしてしまう母に、娘が苛立ちをぶつけるのだが、そこから扉の中のパートに進んでいく。

不穏なと書いたが、Dream Roadはつんく作の割と抽象的な歌詞の応援ソングで、夢を追えと繰り返し命令してくる曲だ。振り付けがコンテンポラリー調で、壁を繰り返し叩くようなところが何度見ても怖い。これが大原優乃演じる娘の前で繰り広げられてどういう感情になるだろうか?という感じがしたのだ。

しかし、そこから主客が逆転し、娘が菊池桃子の母に思いを伝える場に変化する。それと同時にJuice=Juiceの歌う曲も予定を変更して、「『ひとりで生きられそう』って それってねえ、褒めているの?」になった。

今回のJuice=Juiceは現状のフルメンバーだった。娘(モーではなく大原)のリアクションはこれまでの客人たちとは異なり、「Juice=Juice…本物?」というもので、そういえばファンではないような前回までの客人たちがハロプロを全く認知していなかったことに気づく。まあ実際そんなものかもしれない。

「ひとりで…」は、音源が2バージョンあって、最初のシングル発売後にNew vocal version入りシングルというのが作られている。メンバーの卒業、加入が発売直後にあったこととか、この曲が売れたこととか理由は色々あるけれども、歌割を全取っ替えしたことで賛否両論はあった(オアシス朋子が好きだったのにとか)。どちらにしてもそのNewバージョンからもメンバーが3人去って、4人入っているのでもう別物だ。

最初のフォーメーションは元々は宮本佳林さんをセンターに置く7人だったけれども現在も9人と奇数なので見栄えがする。もちろん今のセンターは歌い出し担当の段原さんだ。

この曲のメッセージを大枠で捉えて、恋愛関係を母娘関係に読み替えている。そうやって観ていると合間にドラマのセリフが挟み込まれていることもあり、意外とすんなり受け取れる。というか、そもそも「ひとりで…」と決めつけてくるのは他者全般なのだ。その他者の中から「誰か」を求めている訳だが、この話の中では特定の相手がいる。娘とJuice=Juiceの9人が母に対して訴えかけてくる。ここで主人公と同年代のアイドルが歌っている意味も強くなっていると思う。「オアシス」も実家のことのように聞こえてくる、ちなみに今はオアシス玲音だ。

さて、歌割の方はNew vocal ver.をベースに卒業したメンバーのところを変えている。宮本さんのところは井上さんに自然に入れ替わっている。高木さんのところを工藤さんが歌っていたりするとついつい感動してしまう。というか、最近はJuice=Juiceのパフォーマンスを観るとほぼ泣いている。現在のJuice=Juiceを見ても、過去の映像を見ても。

曲と同時進行する親子の対話では娘も泣いていて、WEB記事で大原優乃さんは「役柄の心情と歌詞がすごくリンクしていて、何テイク重ねても涙が止まらなかったです。そのくらいこの楽曲が刺さりました。」と述べており、一方で植村さんも「何回もテイクを重ねているのに、演技中の女優さんの涙が毎回流れていることにみんなで驚いていました。」というコメントをしている、この対称性が美しい。

2週に渡ってJuice=Juiceが出演した。曲目は想像と違ったけれども、どちらもグループの代表曲だ。歌詞の捉え方も納得のいく良いドラマだったと思う。普段は歌詞を歌声そのもの、音として捉えて聴きがち、観がちなので、改めて歌詞を読む良い機会になった。来週が最終回、モーニング娘。’22のようだ。

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