この世のもの

見たものと考えたこと

アクリエひめじオープニングシリーズ 「HimeFes2022」森口博子/BEYOOOOONDS with パシフィックフィルハーモニア東京 於アクリエひめじ 大ホール

17列目 コンサートホールなので(?)横に広めの客席。
割とみやすい位置だった。客層はBEYOOOOOONDSファンが優勢だが森口博子ファンと見られる結構高齢な方も多い。そしてどちらもペンライトを持っている。

BEYOOOOONDS
  1. Overture
    幕が開くとオーケストラのところどころにBEYOOOOONDSの面々が立ったり座ったり。ある程度楽曲が進んだところで各人がオーケストラのパート紹介をしていく。本人ではなくスタッフが考えたであろうコメントを添えつつ、コントラバスから弦楽器、管楽器、打楽器、そして指揮者。
    コーラス部隊がいるわけではないので、最後まで楽器のみの構成でした。

    MC。リーダー達が基本は喋るのだが、一岡さんの負担は小さめ。高瀬さんがこういうときは本当に心強い。BEYOOOOONDSのこと知っていましたか?とオーケストラに聞く強心臓、ほとんどいなかったが指揮者のいくろうさんとあとトランペットの方が手を挙げていたかな。クラシックとの関わりのきっかけということで次は

  2. ショパン先輩
    ピアノの前に座ると小林さんの顔は見えない。ステージ前面を歌唱ダンスに充てないといけないので仕方ないですね。原曲よりBPM遅め。テンポを合わせるのに苦戦してる感じがして手に汗握るが、だんだん調子が出てきているのがわかる。弾きながらもちゃんと歌う小林さん。姿が見えないのでほんとに天の声のようだ。西田さんは早口の歌割をうまくオーケストラに載せていてさすがだった。清野さんはボイスパーカッションを合わせるのがすごい。ここでは前田さんが出てきて指揮をする(学生服だと合唱コンクールみたい)のだが、今回は本物の指揮者もいる。楽しい場面だった。

  3. 涙のカスタネット
    ようやく参加できた。この日のためにカスタネットを購入した。この曲に関してもゆっくりめだったので叩くのはやりやすかったし、ビートがわかりやすいので皆さんも歌いやすそうだった。管楽器が加わると吹奏楽部というか甲子園の応援っぽくなる。

  4. 月光
    曲前のMCで一岡さんのマイクが入っていなくて、BEYOOOOONDSライブみたいになる。素晴らしいオーケストレーションだった。第一楽章のみを、ゆっくりと弾く。小林さんのピアノは癖がなくて穏やかで本当に美しかった。弦楽器を中心に世界が確立されていた。曲終わりの小林さんはいつも通りな感じでへこへこしながら去って行った。

  5. 眼鏡の男の子
    清野さんは普段と違う音に喋りを載せるのが難しそうだったが、うまく緩急をつけて合わせていた。電車の音とかはどうするかと思ったが、SEは入っていた。真横一列であまり振り付け多くせずに歌っていて、(歌割も通常よりも少人数?)それが妙にかわいかった。この曲についても上手くテンポを合わせながらの歌唱で、今のBEYOOOOONDSだからこそできる、発表当時だったらできなかったのではないかと思った。それはそうといつも以上に伸ばす必要のあった夢羽さんの「大したことないじゃん」が完璧だった。決めるべき時に決める人だ。

  6. アツイ
    オーケストラ要素全くないこのメタル曲をやろうと思ったのがそもそもすごい。小林さんはピアノと前列とで往復大変そう。ブロアーの用意をちゃんとして風を送っていたが、エアギターはエアバイオリンに変更されていた。ブログによるとちゃんと動きを教わっていたようだ。Aメロでは木琴で剣の舞のフレーズが入っていて面白かった。

  7. 伸びしろ
    バラード曲で、元々の編曲とは異なるとは言え、オーケストラは当然のように合っていた。原曲聞き返したらピアノ以外原曲にない楽器なのだが、元々こうだったかのようだ。皆さんの歌の上達ぶりがよくわかった。特に前田こころさん、オーケストラに合わせたテンポ感と歌い方(いつもより響きが柔らかめに感じた)をしていて近年見るたびに上手くなっているとは思っていたが一つ壁を突破したというか、個性や特長がかなり出てきている。声質もクリアで、外見も完成されてきているし、今後はさらに歌唱面でも重要なメンバーになりそう。あとは高瀬西田ペアの組み合わせ強い。
森口博子

森口さんがものすごく歌が上手いのはアフター6ジャンクションとかで聴いていたので知っていたのだがその想定の6.25倍くらい上手かった。あと声量がすごい。そして喋りが止まらない。高瀬さんとか特に参考になったんじゃないかと思うし、たぶん本人より少し年上の年齢層の客層が熱心についてきている感じはいい雰囲気だと思った。あとエゴサしまくるのとかいろいろぶっちゃけるトークとかはやはり佳林さんを連想せずにはいられなかった。54歳になった時も歌っていてほしいですね。「鳥籠の少年(たぶん)」ではBEYOOOOONDSファンのカスタネットを使用するという驚きの展開でしまったカスタネットを慌てて引っ張り出した。

 

BEYOOOOONDSはアンコールでアツイをもう一度。曲振りは一岡さんだったのだが、森口さんの後だと一岡さんのたどたどしさが際立ってしまい、高瀬さんにリテイクをくらう。イントロピアノなしバージョンだったが、慣れのためかより聞きやすい仕上がりだった。森口さんの後だと声量があれ?ってなそれはまあそうなる。

オーケストラをバックに歌うということは、通常と違うテンポで歌う上に指揮者は見えないということで、ソロだと帳尻を合わせていけるかもしれないがグループだととにかく全員で合わせていかないとならない。昭和のアイドルであれば生演奏が当たり前だけれども、今は生演奏であってもレコーディング音源を重ねたりしていてドラムはクリック音に合わせたりとBPMが変わらないことが普通なんじゃないだろうか。その意味でもBEYOOOOONDSは大変なことをしたと思う。あと、コーラスが流れないために、その場で歌っている12人の声しかしないのも案外貴重だったのではないか。個人的にはライブの時はあんまりコーラスは流さなずに本人たちの声を聴きたいし、それで寂しく感じないくらいのことがやろうと思えばできるのではないだろうかと思う。音源とライブは別物として楽しむ観客側の姿勢さえあれば。どうかな。