この世のもの

見たものと考えたこと

「Juice=Juice CONCERT TOUR 〜terzo〜 FINAL 稲場愛香卒業スペシャル」をフジテレビTWOで見る

Juice=Juiceの武道館公演はこれで6回目だが、3回連続で卒業公演になった。中継で見るのは初めてである。何しろ単独コンサートの様子を見るのが去年のFAMILIA以来なので、卒業公演ばかり見ている感じだが、ひなフェスでの新曲披露や新メンバーの仕上がり具合なども見て、それなりの想像と期待を持って拝見した。

ステージが結構個性的で、ひなフェスっぽい。センターステージなのだが細長く、正面がどちらにもある感じだ。両端は高くなっている。ステージまでは普通同じ高さの花道があるか、隠し通路があると思うのだが、今回は床面、アリーナ席と同じ高さの花道があった。アリーナ席の逆側の人からは全く見えなそうだ。

なんとなく最近思っているのは、2年くらいそのグループのメンバーとして活動していると本領が発揮されてくるなということで(漫然と日々を送っている生き物のたわごとでしかないが)、今のJuice=Juiceで言うと井上さんだし、初期のJuice=Juiceで言えば最初の中野サンプラザあたりが2年だ。稲場さんも、工藤さんもそのあたりで歌が安定してきた気がするし、梁川さんはもう少し続けていたらもう一段階すごい歌唱メンバーになっていたかもしれない。それが良いとか悪いとかではなく、いかにハロー!の皆さんの不断の努力が素晴らしいかと言うことです。それぞれに個性があって、それぞれの本領がある。

今回のセットリストは意図が結構はっきりしていて、「terzo」収録曲を並べて、人気曲「禁断少女」「ロマンスの途中」を挟み、宮本さん以来定番になりつつあるメンバー入れ替わりとの組み合わせでメドレー、衣装替えでユニット曲、そのあとはライブ定番曲で盛り上げてFamiliaで終わった。前半で今のJuice=Juiceをしっかり見せていたのが良かったと思う。アンコールの方に「続いていくSTORY」ではなく「シンクロ。」を持ってきていたのも、稲場さんの初参加曲というのもあって感慨深かった。

初披露の曲が3曲あって、「POPPIN' LOVE」は思っていたのと結構歌っている人が違っていて自信を失った。今のJuice=Juiceだと確信持てるのは井上さんと有澤さんくらいだ。「価値観・趣味違ったって」は江端さんだった。どういうディレクションであの歌い方になったのか、様子を見てみたい。それにしてもダンスが揃うグループになったなぁと思う間奏のダンスだった。「ノクチルカ」も初披露だったのだが、新メンバーの活躍が目立っていて、その新メンバーから順に歌い継いでいく2番のラインは「TOKYOグライダー」を思わせる高揚感があった。入江さんは顔立ちが男前なのでこういう曲のクールな表情が様になっている。そして最後にセンターにいた工藤さんが彫像のように美しかった。「G.O.A.T」は音源がフェイドアウトなのだが当然ライブではそうではなくしっかり終わる、こちらのバージョンの方が好みだった。稲場さんの部分はBlu-rayでどうなるかな。

「禁断少女」の最近の注目ポイントが落ちサビの高木さんが歌ったていたパートで、工藤さんが加速度的に良くなっている。梁川さんのところは長く金澤さんが歌っていたが、今回は稲場さんだった。最後のしゃくりが梁川さんリスペクトになっていて、ここで泣いた人は多いと思う。佳林さんパートを歌う植村さんも今回とくに素晴らしかった。

「ロマンスの途中」はもう誰がどの場所を歌うかさっぱり分からなくなっているのだが、1年半くらい前の10月10日イベントのDVDを見返してももう全く変わっている。この時は井上さん加入直後で工事中な感じだったが、さらに今はオリジナルが植村さんだけになり、みんな均等に頑張る曲になっている。もともとは大塚さんの穴を佳林さんが埋めていて偏重がすごかった。最後のサビでセンターに立った段原さんはひとりジャンプせずに歌い上げていて格好よかった。この曲に限らず段原さんは格好つけまくっていて結局かわいかった。

メドレーの選曲もどれも素晴らしく、さすが稲場さんなのだが、「初めてを経験中」は入江さんと江端さんの魅力がよく出ていた。入江さんは本当に年相応の歌がよく似合っていて、初めてを経験中の時でいうときーともの間くらい、Juice=Juiceのこの手の今日は最近あんまりやらないがどんどんやってほしい。江端さんは今かなりのショートカットになっていて、2015年の佳林さんやカントリー時代の船木さんを彷彿とさせる。表情の思い切りの良さもやはりこの2人っぽくて、とにかくかわいい。「微炭酸」はソロで歌うかなとちょっと思っていたがそうではなく、「井上玲音がJuice=Juiceの歌を…」のバージョンだった。これはライブでは初めてだろうか。想像以上にハーモニーが美しかった。稲場さんは気合が入ると音程が怪しくなる傾向があると思うのだが、この曲はものすごい集中力でピッチを保っていて感動した。生で見た人が羨ましい。

「雨の中の口笛」と「Mon Amour」もパフォーマンスを初めて見た。「Mon Amour」は歌詞が空虚なので感情を乗せて歌うのが難しそうだが、2番の段原・井上ペアと植村・稲場ペアに分かれて歌い継いでいくところが好きだ。どちらも非常に相性の良い組み合わせだ。常々2人の声の組み合わせを聴くのが好きなので、5人の時の「GOAL」とか「Feel!」とかはかなり楽しんで聴いていた。段原さんと井上さんの2人はノクチルカでも非常に熱い歌唱をしていて、今後を支えてくれる頼もしさがある。今回のコンサートでは他に松永さんと江端さんの組み合わせも良かった。

私は前から思っているのだが、「GIRLS BE AMBITOUS」のオリジナルは純粋な自己紹介ソングというわけではなかったので、オリジナルの歌詞を今のメンバーで歌ってみたらどうかというのをやってみてほしい。配役を妄想するのは楽しい。勿論人数は増えているので細かく分ける。

「如雨露」はもともと大好きというほどの曲ではなかったのだが、今回のパフォーマンスは今まで見た中で一番だった。ラジオやYouTubeでも井上さんなどが好きな曲として挙げているなどメンバー人気の高い曲だ。5人時代に発表された曲なのだが、多めの人数で歌うのに向いている。数人ずつで同時多発的に小芝居などを挟みつつ歌っていて、歌詞の前向きさと相まって非常に良い雰囲気だった。稲場さんにみんなでくっついていくサプライズもあって、しんみりしないけれども感動的な終わり方だった。

卒業コンサートとしては標準的なフォーマットに則ったものだったけれども、稲場さんの持ち味と今のJuice=Juiceの良さが発揮された良い式でした。

 

セットリスト

オープニングアクト

本編

  • VA-VA-Voom
  • プラトニック・プラネット
  • POPPIN' LOVE
    MC
  • 「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?
  • STAGE〜アガってみな〜
  • ノクチルカ
  • Future Smile
  • G.O.A.T
  • 禁断少女
  • ロマンスの途中
    MC
  • ダンスパフォーマンス
  • ポップミュージック
    卒業スペシャルメドレー
  • 初めてを経験中 稲場有澤入江江端
  • 好きって行ってよ 稲場工藤松永
  • 微炭酸(井上玲音が〜Ver.) 稲場井上
  • 続いていくSTORY 稲場植村段原→全員
    MC
  • 雨の中の口笛 工藤松永有澤入江江端
  • Mon Amour 植村段原稲場井上
  • Fiesta! Fiesta!
  • GIRLS BE AMBITIOOUS! 2022
  • 私がいう前に抱きしめなきゃね
  • Goal〜明日はあっちだよ〜
  • Magic of Love (J=J 2015 Ver.)
  • Familia

アンコール

  • もしも… 稲場
  • シンクロ。
    MC
  • 如雨露

lp.p.pia.jp

realsound.jp