この世のもの

見たものと考えたこと

舞台「けものフレンズ」2~ゆきふるよるのけものたち~ 於品川プリンスホテル クラブeX

面白かった。良い2時間でした。

乃木坂46のことは毎週乃木坂工事中を観る程度に好きなのですが、鈴木絢音さんが特に好きです。主演の演劇があるということで、観に行った。けものフレンズに関しての知識はほぼゼロ(荻上チキさんがラジオで語ってたのを聴いたのみ)で、何から手を付けていいかもわからないので予習等せずそのまま行った。他のキャストの方々ももちろん佐々木さんは知ってるけどほかはほとんど知らなかった(後で知ったが尾崎由香さんはアフター6ジャンクションに出てた、全然結びついてなかった)。
なるべくチケットの取りやすい公演をと思って本日行ったのだけれど、尾崎さんが休演した影響で本日が「サーバルの回」、初日だったらしい。そのせいか、客席の反応がホットだったのが嬉しいところだった。
小さい円形の劇場で、ほぼ壁際だったが近く、また扉の横だったので出入りするキャストが

客層はほぼ男性で、ハローと違うのは若い人多い。

絢音さんの声の美しさ。アイドルで外見と声の両方が好きという人は数少ないのだけれど、やはりこの人の声はいい。高い声にちょっとだけ低い倍音が混ざっているような感じが落ち着いた雰囲気になっていると思う。キャラクターがあまり活発でないものだったのも良かったのかも。

セリフ回しも本当に自然で、所作も含めて違和感がなかった。よく考えたら相当変な格好をしているのに、仮装感がないと言うか。そういう人(けもの?)に見えた。写真を見るとやっぱりコスプレっぽいので、実物の雰囲気が

テレビで見るままの雰囲気、美しさだった。やはりなかなか他にいない翳の要素を含んだ顔立ちだなと思う。4年くらい前に一度だけ生で見たことがあったけれど、その頃より外見の印象が安定したなというか、完成されてるなと思った。そして小柄で、華奢なスタイルも素敵だった。佐々木さんとの体型の近さが同種のけものらしくてよかった。

佐々木さんは文句なく美しい、昭和と平成のいいとこ取りのような和風美人だと思う。座席の関係上相当近くで拝見したけれど(酒瓶を置いたり回収したり)、全く破綻がなかった。こちらも金髪が浮いて見えなかったのがすごい。演技は上手とは言い難いし大人しすぎるのかもしれないけれど、自立しようとする妹役によく合っていたし熱意が出ていたと思う。

物語も全く分からなかったらどうしようと思っていたが初心者にも分かるように徐々にキャラクターの説明もなされていたし、設定も大体は分かった。ありがたい。あの長さでそれぞれの特徴を見せて、誰が誰やらな客を見分けがつくまでに持っていってくれるというのは素晴らしいと思う。病院、稲作の道具、ラジオといったバラバラな要素があまりこれ見よがしではない形で終盤に結びつくのは静かな感動があった。泣かせじゃないのが好感を持てた。*1

人の存在の扱いも間接的な説明で概ね分かった。けもの同士は同じ言語で話してるけど、人間の言葉は分からないということなのか。で、人間はもう絶滅してる世界なのかな。

思った以上にミュージカルだった、よく歌ってたし踊ってた。最近は舞台版って言ったらミュージカルがデフォルトなのかしら。そして主役2人の歌はそういった舞台としては画期的であろうくらいに音程が不安定だった。アイドルが場数を踏むと音痴と思われていた人がそれなりに聞けるようになったりするものだけれど、乃木坂の方々はやはりあまり歌う機会に恵まれていないのかなと邪推するに至る。

動物のチョイスはよく分からなかったけど。マンモスだけ絶滅種だし寒冷地の方じゃないのかなとか、キツネにはオイナリサマはどう見えてるのかな、同種じゃないのかなとか。終盤アブラゼミが出てきたけど、虫は虫なんだ、とか。

笑いも多く、大小さまざま、アニメ的なのりなのかしら、とてもタイミングがよくて自然に笑えた。

ストーリーはほぼ直線的でどんでん返し的なものもなく、安心して観られるタイプ。もっといろいろあるかと思ったけど、最後はなんかみんな踊って歌ってわーいみたいな感じだった。同じ曲複数回やってた?ちょっと聴き分けられず。ギンギツネとキタキツネの関係がもっと明かされるかと思ったけどそうでもなく。前半の含みのある感じから、ギンギツネがもっと暗い事情を抱えていて、敵対するんだけど最後改心するみたいなことも想像して妙な期待をして観てしまったけどそういうこともなかった。あとは雪像作らないのか!?とか。

途中突然出てくる一つ目の怪物たちは全然説明がなかったのでわかりませんでした。セルリアン?何? なんか丸いのと6角のと2種類くらいいた。あれは何だったんだろう。

魅力的なキャラクターが多かったが、特にマンモスの人格者っぷりが好きだった。頭が良いぶっていたらもっと頭が良い人が現れるという展開は胃が痛むものであるけれども、ギンギツネの嘘を優しく指摘する場面はかなり感銘を受けた。ちょっとセリフが正確に思い出せないのが残念だが、「字が読めなくたって想像して語ることに価値はある」と信じられることで、終盤、ギンギツネは嘘を想像と呼び直して、前向きな結果というか奇跡を起こすことができたんだと思う。

あとはトナカイのすっとぼけた犯罪者っぷりも良かったし、タヌキの加藤里保菜さん(この人は眼鏡掛けたグラビアで何度か拝見して好きでした)の役柄通りの変幻自在な芸達者っぷりと異常な白さ・可憐さも観られてよかった。

 

*1:どうも先々月のJuice=Juice舞台と比べてしまっているな。