この世のもの

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つばきファクトリー『間違いじゃない 泣いたりしない』Promotion Editを見る

福田真琳さんの新しい髪型を見ての感想として「あいみょん」というのはよく目にしていたのだが、私は別のものが朧気に脳裏をよぎっていた。それがなんだったか思い出せずにいたのだが、先日HDDの整理をしていて分かった。「霊媒探偵城塚翡翠」の原作表紙だ。ドラマしか見ていないのだが、表紙の画像が出ることがあったのだ。

雰囲気の話ですよ。

さて、この髪型にしたのは主に2月22日発売のシングル収録曲「間違いじゃない 泣いたりしない」のためであることがアーティスト写真からは推測される。そのMVが1/15に公開された。

まずサムネイルが衝撃的で、真琳さん1人の画像だ。どういうことなのか。私はまだ冬のコンサートに行けていなくて曲の情報が衣装以外なかったので、しばらく(5分くらい)再生する勇気が出なかった。

真琳さんはMV本編でも主役のような立場で、ドラマパートもリップシーンもソロで写っていることが多い。階段に座ってこちらを見る姿がサムネイルになっている。おそらくこれは歌割から逆算?されたもので、この曲は繰り返し真琳さんの「Give me a reason to be awakened Everybody listen!」というK-Popっぽい英語フレーズ(メンバーはラップと言っていた)が登場するのだが、そこが通底して曲の印象を決めているからではないか。

この曲は2021年後半からの12人体制最後のシングル曲になる訳で、実際その間の集大成のような曲になっている。

歌詞は西野蒟蒻さんで、つばきで言うと「意識高い乙女のジレンマ」の作詞、佳林さんの「なんてったってI Love You」が個人的には好きだ。提供曲は多く恋愛ソングで、あまり気を衒ったりしていないしキラーフレーズとかもないけれども、言っていることが破綻していないので安心して聴いていられる歌詞だ。今回は日本語英語混じりな歌詞で、その辺りもK-Popっぽい(よく知らないで書いているが)。内容としては失恋から立ち直るという、「涙のヒロイン降板劇」と似たような心情を歌っていると思う。「君の嫌いだった香水」「ピンクリップよりワインレッドルージュで」のリンクとか。

作曲はおなじみのshusuiさんとスウェーデンの人々。と言ってJosef Melinさんは今回参加していないので「涙のヒロイン降板劇」「弱さじゃないよ、恋は」とは違ったメンバーで、多分編曲はハロプロ初の布陣だ。名前がとにかく覚えられない。

「弱さじゃないよ、恋は」でも効果的だったオクターブのハモりが今回も採用されていて、低音部は小野さん・小野田さんに加えて新沼さん・秋山さんも参戦している。さにこ強い。特に秋山さんは低音でも彼女らしさが失われていない声なのが良い。高音の方では河西さんのアーバンブルーボイスがやはり素晴らしい。

つばきファクトリーの良さは分業がしっかりされているところで、上記のハモりもだが特に今回は落ちサビのところの谷本さんのファルセットとそこに(映像的にも)絡む山岸さんの声が美しく、安らぎポイントになっている。サビの力強いパートは河西さん→新沼さん→豫風さんでこちらも納得の人選。ライブだと豫風さんはもっと強く歌っていそう。その1サビの河西さんから真琳さんの英語を挟んでの八木さん「失っただけじゃないの」はリトルキャメリアン好きとしては感涙ポイントだ。ラジオでもここまではかかるというところにあるのが嬉しい。同じ「失っただけじゃないの」の小野田さんのパートも良いし、同メロディの真琳さん「本当によかったわ」は本人のベストパートなんじゃないか、今のところ。メロディがいいんだな。

ドラマパートはリトルキャメリアンが恋人との思い出の品を燃やすという様子で、映像のトーンなども含め48グループのちょっと昔の曲を思わせる。真琳さんはスマホをガラス窓?にぶつけたのちに燃やすという所業に及んでいて、1年半くらいのスマホ所持の間に何があったのか、よほどの恨みを感じる。最後に12人全員で横並びに歩いているシーンもあってそこでは一番左のやぎまりんに注目しておきたい。

真琳さんの英語は合間に挟まるrap?だけでなく冒頭の美しい(Love is over, however)そして終盤の(Don’t stop now, let me go!)とソロカットで決めてくれているので気が抜けない。特に終盤の方の表情は「涙のヒロイン降板劇」での表情ともリンクする見下すようなもので、見比べると変化が感じられる。

ハロー!に関してはずっと宮本佳林さんを見てきていたので、彼女がJuice=JuiceのセンターにいることやMVのサムネイル画像になっていることが割と普通のこととして受け止められる環境にいた。今回は推しがフィーチャーされる喜びのようなものをストレートに味わえていて、自分としてもなかなか感じたことのないものだった。YouTubeアプリを開くたびにこの曲のサムネイルが表示されて感情が(概ねプラス方向に)揺れる数日間を過ごした。

コンサートだとどんな感じで表現されているのか。どれくらい生で再現しているのか。MVを先に見て注目ポイントを押さえてから見られるのは良かったかもしれない。この曲は集大成と言ったようにかなり高度だと思うし、今のつばきファクトリーだからこそ歌える曲だと思う。その高度さがとっつきづらさではなく格好良さになっているのは再生回数が順調に伸びていることでもわかる。今年も皆様が躍進する年になりそうで、またつばきファクトリーに生かされる一年になりそうだ。