エッセイなので、かなり踏み込んだ意見を書いている。むしろちょっと雑に見える所も多いし、10年前くらいの文章なので既に覆されている説や修正されているデータもある。
ダンバー数云々については数としての自分の実感と全然合わないので(高校生活までは合っていたかも)、120と150の差をはっきりしたものとして示されても頷けはしないのだけれど、印象に残ったのはそれよりも医学と倫理の件(11章)と、人口爆発の件(12章)。
様々な環境問題に取り組んでも、根本的に人口の増加を抑制しないとどうにもならない。伝統的な生活がサスティナブルなのは、単にその時の人口がすくなかったからだ。そして、「生物としての人間のあり方に政治が手を出すとろくなことはない」。
数世代先までの人類の生活を少しましにすることはできても、人口の抑制が不可能であるのだから、それ以上の抵抗は無理なのではないか。終わりの見えているゲームなのじゃないかと思う。そしてそれ自体が自然なのではないか。あんまり先のことを考えずに今思いつける、出来ることをするくらいしかない。
- 作者: ロビンダンバー,Robin Dunbar,藤井留美
- 出版社/メーカー: インターシフト
- 発売日: 2011/07/01
- メディア: 単行本
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