この世のもの

見たものと考えたこと

『カステラ』パク・ミュンギュ著

人間は結局独りであるという事実と、人間が一人で生きていけるわけはないという事実を同時に、身にしみて実感した。矛盾するようだが、僕は今もそう信じている。つまり、人間は往々にして、世の中に一人で生きていないからこそ、独りぼっちなのだ。

人は1人では生きてはいけないとはよく言われることだが、こちらでは生きていないと書いてある。

確かに私たちは、直接会うことのない人、今は生きていないかもしれない人を含めた他人との関係をもとに生きている。
別にそのことを意識したところで孤独が癒やされるわけではないと思うが、何か自分がまちがった人間であるというような、謂れのない罪悪感は薄まるのではないだろうか。