この世のもの

見たものと考えたこと

長崎・佐賀 縁の地旅行ダイジェスト

1月末〜2月初めにかけて長崎・佐賀旅行に行ってきた。

長崎に行ったのはもちろん福田真琳さんの出身地だからだ。今までラジオや動画配信などで色々と長崎県の魅力を伝えていたので、その情報に基づいたところにも行きたかったし、別に元々見てみたかった建築や行きたかった温泉も近隣にあったので、それらを混ぜ込んだ計画を立て、結果的に長崎・佐賀旅行になった。去年辺りから「長崎」という文字を見るだけでちょっとときめくような体質になっているので、旅行中は基本的に浮ついていた。九州に行きたかったのは、もちろんばってん少女隊、とくに「九祭」を聴いていたのもあって、「和・華・蘭」も「さがしもの」も好きな曲だ。その歌詞も思い起こしつつ旅行した。

長崎へは西九州新幹線に乗って行く。と言っても博多までは山陽新幹線、博多から武雄温泉までは在来線だ。書き初めみたいな「かもめ」の文字。

平和記念公園へ。野中ここなさんもそうだし、広島出身の段原さんもそうだが、原爆投下の日には平和を祈るブログを書いている。真琳さんも昨年のブログに書いていた。

広島の広大な公園に比べると小さくひっそりとしている印象のある公園、だが像は大きい。落下地点は像とは道を挟んだところの公園内にあり、石碑が立っている。浦上天主堂の遺構も落下点の近くに移設されている。

資料館はその更に上にある丘にあって、入ってから地下にある展示室に降って行くようになっている。降りながら時間を遡っていくような趣向だ。爆風、熱線、放射線と3つに原爆の破壊力を分けてその被害を示しているのがわかりやすい。人々の直接の被害を示す写真はあまり大きくはないがはっきりと展示されていて、やはりその異常さは伝わってくる。

長崎で本人も被爆しながらも医師として被爆者の救護にあたった永井隆の資料館が近くにあり、その敷地内に晩年の書斎である如己堂が保存されている。2畳の書斎と縁側、玄関のあるミニマルな一軒家であり、埼玉の見沼にあるヒアシンスハウスを思わせる。中に入ることはできないが、縁側からのぞく。

第4章 如己堂 | 長崎市永井隆記念館

旅行の日程はちょうど春節直後の時期に当たり、長崎ではランタン・フェスティバル(長崎燈會)という祭が行われていた。結構会期は長い。知名度のある行事のようだ。ランタンと言っても空中に飛ばしたり川に流したりするものではなく、要するに提灯だ。旧暦正月1日から15日に行われるので、春節というよりは元宵節に由来するものか。1980年代からなのでそんなに古い祭ではない。真琳さんが言及していたことは自分が知る限りではないのだが、あるかもしれない。来たことはありそう。ばってん少女隊の長崎曲「和・華・蘭」には「ランタンフェス舞う光」というフレーズがあって、これがそれかと思った。

ばってん少女隊 和・華・蘭 歌詞 - 歌ネット

そう言えばどんどん坂は行きそびれたな。行きそびれたと言えば真琳さんがよく薦めていた五島列島の椿を見には行けていない。ご本人も行ったことないみたいだが。代わりではないが、住宅地で見かけた椿と、五島うどんのお店の看板を記録しておく。

孔子廟。明治に建てられたかなり立派な霊廟で、たぶん台湾でも似たような建物に入った気がする。中央の広場でいろいろと出し物が行われており、変面ショーを見た。お面というよりマスクで、柔らかい布のような素材でできていることを知った。入口近くの庭にはいろいろとランタンが飾られていた。吊り下げられるものだけではなく、ねぶたのような立体造形物も各地にあった。会場は徒歩圏内に集まっている。どこも提灯が道沿いに吊り下がっていて、結構迷う。

眼鏡橋付近は提灯が黄色だった。水面に映って美しい。川には灯籠流しはないが、鳥や蓮のランタンが浮かべてあってそちらも良くできていた。道路から川べりには降りることができて、鴨川みたに石を渡って対岸に行くこともできる。まったく安全策は取られていないので、何事もないことを祈る。川は深くはないと思うが。川沿いにもいろいろとランタンが展示されていて、十二支だったり金魚、鯉、天馬などもあった。

中央公園。大きいテントに提灯が下がっていた。あとは普通の公園遊具とランタンが隣り合っているのが面白かった。

大浦天主堂は建物が非常に美しい。浦上天主堂が原爆で大破したのに対し、こちらは生き延びたようだ。白い外壁をきれいにキープするのは大変だと思うが、維持されている。創建当時よりは一回り大きくなっているようだがそれも1879年のことだから古い。隣の学校や宿舎のあとはキリシタン博物館になっていて、隠れキリシタンキリスト教に関する展示が膨大にある。

昼食にちゃんぽんをいただく。店の名前は「よこはま」だけど、長崎の中華料理店だ。そもそもラーメンとかちゃんぽんとかが好きなわけではないのだが、スープがとてもおいしかった。

買いたいお菓子があったので探す。ひとつは、よこはまの近くにある日之出饅頭店という古そうなお店で売っていた。真琳さんがラジオだったかインターネットサイン会だったかでおすすめの長崎のお菓子として紹介していた「かんころ餅」だ。この店は安くて饅頭は70〜80円、かんころ餅も300円だった。たぶん他の店の半額くらい。これはほぼさつまいもと餅と砂糖だけでできているお菓子で、固くなる前ならそのまま食べられる。食べた。材料そのものの味で、しみじみおいしかった。

もうひとつも何かで真琳さんがすすめていた「梅ヶ枝餅」で、長崎のと言っていたかどうか思い出せない。どうやら太宰府のもののほうが有名なので、そっちの話だったかもしれないが、長崎にも売っている店がある。菊水というお店で、お店に着くと誰もいないので声をかけると高齢の女性が出てきて「作りますか?」と聞かれたので「お願いします」と、その場で粉から作ってくれるのを待った。もち粉だと思う。餅と小豆餡だけでつくられたこちらもシンプルなお菓子だ。ごま油で焼いているのがポイントらしい。たしかに香ばしい。固くなったらレンジを使えばいいとのこと。

快速シーサイドライナーに乗ってハウステンボス駅へ。床のQRコード風の模様が気になる。JR九州はどの列車も凝っていて楽しいし居心地が良い。列車は途中大村湾沿いを走り、海が見られる。

ハウステンボス駅に着く。JRの駅のはずなのだが、完全にハウステンボスに侵されており、施設の一部のようになっている。ハウステンボスは、つばきのメンバーも真琳さんに再三すすめられているというところなので行かないわけにはというところだが、本当は高校の修学旅行で行ったはずだ。記憶がない。中に入ってもなにも思い出さなかった。冬の時期はイルミネーションが売りということで、それを一通り見た。点灯式もあって、なんか男の人が出てきて歌ったり、人工雪と見せかけて泡のようなものが放出されたりしていた。船に乗ったのと、観覧車に乗ったのが楽しかった。一応「夜空の観覧車」だと思う。イルミネーションはこちらもランタンに負けず物量が多く、庭のところと噴水のところが特に見ごたえがあった。あと遠くからしか見ていないが、3階建てのメリーゴーラウンドは面白いと思う。

早岐から、バスに乗って波佐見へ向かう。バスの運転手は福田さんだった。波佐見焼は真琳さんのブログにも登場している。ほかでも言及があったように思う。

やきもの公園。いろいろな窯が展示されている。休憩所がタイル張りでかわいい。波佐見は窯とお店が点在しているので、観光協会でレンタサイクルを借りる。電動アシスト自転車なのがありがたい。ちなみに真琳さんの好きなくらわん館は観光協会に併設していて、たしかにいろいろな窯の実用的な商品がいろいろあった。波佐見はやきもの一点集中の街づくりをしていて、公園もそうだったが案内板とか交差点の車止めなどもタイル張りになっている。

やきものを求めて中尾山へ自転車で向かう。坂の途中に窯の案内がたくさんあって、左右に細い道がある。どの窯も店をやっているわけではないので、ちょうど開店しているところをいくつか見てまわった。結局のところ、最初に入った「光春窯」の器が一番好きだった。波佐見焼はほとんど定義がないくらいに幅が広く、絵付けがされているものもあるし、釉薬の色も様々だ。光春窯のものはシンプルで、特にトルコ釉、多分、の青い器がきれいだった。

中尾山を後にして、やきもの公園の近くの西の原ということころへ行く。ここは器のみせに限らずセレクトショップやらカフェ、レストランなども集まっているおしゃれな感じのところだ。福幸製陶所という製陶工場の跡地を改装していて、どの建物も登録有形文化財のようだ。その中にある南創庫という店でまた器を見る。ここは(というかここ一体の店を)西海陶器というけっこう大きな会社がやっていて、そこの製品が主にあるようで、その中でもいくつかブランドがあるようだった。シンプルなものから変わった形のものまで、白い陶器の質感を生かしたものが多めだった気がする。

文化財と言えば近くにはもうひとつ見たいところがあって、旧波佐見中央小学校講堂だ。前に新聞記事で見て来てみたかったのが実現した。焦げ茶と白のコントラストがある外壁も素敵だが、内部がとにかく広くて驚いた。天井はそれほど高くないのだが、幅と奥行が想像以上だった。柱のところに壁ないのが開放感につながっているかもしれない。明り取りの窓も多く薄暗い感じもなく、良い空間だった。

少し時間があったので、もうひとつ少し離れているÔYANE(こちらも西海陶器の店のようだ)という店にも行った。この店は上の階は小綺麗にこの会社の製品や個人の窯の製品を扱っていて、下の階はもっと大量生産的なものを雑多に売っている。さきほど中尾山で見た窯の茶碗を結局こちらの上の階で買った。

やきもの公園から今度は路線バスで佐賀県へ入り、嬉野温泉へ向かう波佐見と嬉野は県は違うけれどもバスで20分くらいと近い。真琳さんもたしか家族で旅行に行った話をしていた。嬉野温泉が近くにあるというのは羨ましいかぎりだ。嬉野温泉は本当にお湯の質が好みで、あまり刺激が強くなく、すこしとろみがって無色透明で熱い。

朝ごはんに嬉野の「福田とうふ店」の温泉湯豆腐をいただけた。温泉に溶けかけていておいしい。

温泉街を散歩しつつ、川沿いも歩いた。川はゆったり流れていた。温泉もたくさん注いでいる。嬉野温泉には古い公衆浴場を再建したシーボルトの湯(写真左の赤屋根)というのがあって、そこにも寄った。露天ではないけれども明るい浴場で過ごしやすかった。温泉街自体は寂れていて特にいい雰囲気ということもない。宿選び次第だなと思った。足湯が何箇所かある。一つにはあし蒸し湯というのがあって、お湯ではなく蒸気を足に浴びられる。

嬉野温泉と武雄温泉は新幹線も通ったが、バスでもすぐに着く。武雄温泉は福田真琳さんとは全く関係なく、嬉野温泉まで来たらということで来た。

旅館においてあった絵葉書はどれも魅力的で佐賀で行ってみたいところも増えたのだが、気球が多量にあるのは佐賀インターナショナルバルーンフェスタらしい。ばってん少女隊「さがしもの」の歌詞の意味がようやく分かった。

ばってん少女隊 さがしもの 歌詞 - 歌ネット

武雄温泉は有名な公衆浴場があって、こちらは古い建物が残っている。辰野金吾の設計で大正初期に建てられた楼門と新館。東京駅と同時期に建てられたとのことだがどちらかというと片瀬江ノ島駅みたいなのは、どちらも龍宮城をイメージして造られているからだろう。新館のほうは今は資料館になっていて、古い浴槽なども再現されていて一部は中に入れる。楽しい。客室が再現されている部屋もある。元湯というのが公衆浴場なのだが、熱い。ぬる湯のほうも写真を撮った時点で42.8℃、あつ湯に至っては44.8℃。長くはつかれない。武雄温泉は嬉野温泉に似ているがよりとろみがあった。嬉野温泉も武雄温泉も洗い場のシャワー、カランも温泉なのが良いのだが、武雄温泉はボディソープが落ちていないんじゃないかというくらいぬるっとしている。と思っていたら休憩所でそんな話をしている人が複数いた。

南下して、武雄神社に行った。行ったというか、通りかかったので寄ったのだが、由緒ある神社のようで、境内の奥に樹齢3000年(と書いてあった)の大きな楠があった。

武雄市の文化財−武雄の大楠

樹齢3000年といわれています。「誰に?」という感はあるが、大きいのは確かだし、あまり近くには寄れないが洞は入ってみたかった。

ツタヤとの提携で全国的にも良くも悪くも話題になった武雄市立図書館へ。誰でも入れる。図書館とスターバックスと蔦屋書店が境目なく存在していて、席で本を読んだりコーヒー飲んだり(細かいエリア条件はあったけれども)できる。近くにあったら楽しそうなところだった。

帰りも特急と新幹線で。関西からであればそんなにくたびれずに列車で行けるなと思った。九州は何度か行っているがいつもいいところだなと感じている。「沸く星」大分県には行ったことがないので、機会を作りたいと思っている。