この世のもの

見たものと考えたこと

Juice=Juice CONCERT TOUR ~nouvelle vague~ 於広島JMSアステールプラザ・大ホール

前回旅行で来たときは特にチケットを携えてはいなかったので、広島でコンサートを見るのは初めてだ。

なぜ広島まで来たかというと大阪に落選したから。広島の2次で来ることにしたのだった。最初チケットが届いた時はその経緯を完全に忘れていて後ろだーと思ったけど2次だったので当たり前だ。ということで最後列なのだが、それほど大きいホールではないのでステージも見えるし、表情もある程度わかる。今回は最近は佳林さんライブでしか使っていなかった紫単色の小さいサイリウムを持って行った。段原さんの最初のバースデーライブで有志のかたが配っていたタオルも持参予定だったが忘れた。地元だけあってオレンジのTシャツの方がたくさん、サイリウムも明らかにオレンジが多かった。良いですね。紫も結構見かけたけど入江さんか石山さんかは微妙なところだ。黄色の人も結構いて、YouTubeのコメントではあんまり言及されなくて心配だったりするがちゃんとファンがいるのだ。

今回は10人でパフォーマンスするようにになってから初めて生でのコンサートだったのと、最近映像で見るJuice=Juiceにやや物足りないものを感じることもあったので、やや不安もあったけれども、実際には素晴らしいコンサートだった。

 

5人時代の曲が多め

春夏のツアーは、タイトル通り、terzo発売というタイミングもあって最近の曲中心のセットリストだった。Juice=Juiceも歴史が積み重なり、曲数も増えたこともあるので最近やっていない曲、今のメンバーで歌ったらどうなるのか想像がつかないという曲も少なくない。オリジナルメンバーの印象が強い曲は封印されてしまうのかという危惧もあった。そんな中、今回のツアー楽曲には5人時代の曲、最近やっていない曲が多く含まれていて、それらの曲が聴けただけでも満足度の高いセットリストだった。

 

イジワルしないで 抱きしめてよ

これは金澤さんの代名詞的な曲になってしまっていて、実際卒業後は歌われていなかった(と思う。以下結構自分の見聞きした範囲の記憶に基づいているので間違いもあるかもしれない)。横浜アリーナの1曲目からまだ1年かと思うとなんだか濃い1年だった、もっと長く見ていないような気がしている。これは初日でイントロかかった時は客席が声のないどよめきを起こしたのではないだろうか。自分は情報を入れずに見ているので、ローズクォーツを誰が言うのか固唾を飲んだが、松永さんだった。まだまだ歌い慣れてない感じだが、難しいんだろうなと思った。オリジナルメンバーがいらっしゃるとは言え、植村さんは歌割「ねぇねぇ」だけなので、完全に別物だ。植村さんの「お願い」好きです。この曲は初期で最も好きな曲なので、解禁されて嬉しいし、今後も歌ってほしい。「裸の裸の裸のキス」も期待している。

 

生まれたてのBaby Love

以前のライブ定番曲だが、高木さんがいなくなってどうすんだという曲でもあった。終盤のフェイクなど、そもそも考案したのも高木さんだが、ありきな曲に感じていたので。実際脱退後は演じられてこなかったと思う。同じく高木さん活躍曲の「Magic of Love」が段原さんの弛まぬ努力によって形になってきているので、そろそろやってほしいと思っていたら今回見られた。一番感動した曲かもしれない。もともと5人でフェイクを回す終盤だったのが、増員後は2人同時で歌っていたりして、そこをちょっ違うなと思っていたところ、完全にリセットされた今回は5人でまた回すスタイルに戻っていて嬉しかった。要するに他の5人曲もそうなのだが、各人の成長によって歌唱力のあるメンバーが増えてきたことによって歌えるようになったのだと思う。実に素晴らしい話ではないだろうか。それによってこの曲に限らず、高木さんのパートを段原さんが負担するのではなくなっている。フェイクは冒頭の金澤さんのところを段原さんが歌ったのでどう割るのかと思ったら、高木さんのところを工藤さんが歌った。禁断少女に続いてまたやってくれたなという感じだが、無理なく出ていたのがすごい、泣いた。段原→植村→工藤→松永→井上だったと思うけれども、本当に強いメンバーだ。これはハロステでやってほしい。新曲の時期だしやらないと思うけど。

 

カラダだけが大人になったんじゃない

これはいつ以来だったのか記憶が定かではないが、こういうダンスが激しい曲を10人でやっていると多いな!と思う。2:3で分かれていた振り付けが5:5なのだ。それにしてもよく揃っていて、この曲に限らず5人で見ている時は理解できなかった振り付けの魅力が、全体がシンクロしていたりカノンになっていたりすることによって理解できることが多かった。5人時代は歌に比べるとダンスのユニゾンの完成度に欠けていたのが今更だが逆説的に分かる。

 

この世界は捨てたもんじゃない

しかしJuice=Juiceは曲名が長い。この曲は冒頭が佳林さんのいくつかある有名パートの一つなのでなかなか重荷だとは思うが、井上さんが頑張っている。この曲も高木さんパートを工藤さんが熱く歌っていて感動的だ。これは完全に偏見なのだが、オリジナルの時はそれぞれ屈託を抱えたメンバーが敢えて明るい歌詞を歌って日常とは異なる世界をステージ上に作り出しているという感じだったのが、今はそれぞれのメンバーが内面にある明るく優しい世界を放出しているように感じられる。どちらが良いとかではなく、Juice=Juiceの雰囲気が変わったなという感慨を書いている。

 

「未来へ、さあ走り出せ!」

この曲が最後の曲だった。別段長くやっていない訳ではないが、この曲に関してもとにかく前向きな曲で、一時期のJuice=Juiceに恋愛ソングが少ないことを改めて思わされる。それはさておきまさに「新たな時代を刻もう」「次の時代が始まる」という歌詞が今のJuice=Juiceにぴったり合っているし、ユニゾンで歌う部分の迫力が今の10人という多人数ならではのものになっていると思う。今歌う意味のある曲だ。Juice=Juiceの「J」を作るハンドサインはこの曲からだったと思うが、ある時期まではこの曲中以外ではほとんどやっていなかったのを工藤さんが多用したことでグループのアイコンとして定着してきた経緯がある。そういう意味でも感慨があった。

 

「KEEP ON 上昇志向!!」

これに関しては5人時代の曲というのも然ることながら、石山さんが実力診断テストで自由曲に選んだ曲だ。よく考えたら印象的なパフォーマンスでまこと賞という謎の賞を受賞したのが今年の5月のことで、その曲を秋にはメンバーとしてコンサートで披露しているのだから激動の2022年だったと思う。この曲に関しては石山さんの歌に9人が加入したという感さえあるくらい、個人的には石山さんの曲で、実際このパフォーマンス中の彼女は一段と笑顔が輝いていて美しかった。今日は曲終わりにスクリーンに映し出されるのは段原さんが多かったが、この曲に関しては果たして石山さんが最後に映り、異常なまでにかわいい笑顔をしっかりと見ることができて感涙ポイントだった。

 

「Wonderful World」

この曲は武道館公演では毎回やってほしい曲と思っていて、今回セットリストに入ったということは多分武道館でもやるだろう。この曲の推移を見ることでJuice=Juiceの歴史を感じられるのが嬉しい。石山さんはフリーのところで何かを投げる振り付けをやたらと繰り出していたのが謎だったが、この曲でも井上さんに何か見えないものを投げていて、それを受け取った井上さんが「忘れもの」と歌うくだりが確かあった。本来は虹の比喩だとは思うが面白い。工藤さんと植村さんは何か耳飾りのようなものをやりとりしていた。どちらかのが取れたのかもしれない。ちょっと不確か。

終盤の展開は、10人だと盛り上がりが大きい。明確にハモっていた、パート分けまではわからなかったけれども。有澤さんがいる今、彼女のコーチングのもとEnglish Versionも挑戦してほしい。

 

新曲がすでに音源より良い

「全部賭けてGO‼︎」が好きな私だが、ちょっともう一回レコーディングしてほしいくらいに今日披露されたものが素晴らしかった。工藤さんは力強いし、植村さんは伸びやかだし、段原さんの「汗も勇気に…」もエモーショナルだった。有澤さんのフェイクも音源だとやや唐突感がある(ミックスのせいかもしれんが)ところ、スムーズな入りで違和感がなかった。「イニミニマニモ」は2人の登場人物を10人で歌い上げるような構図なのがちょっと入りこみづらいのだけれども、新人の歌はこちらの方が楽しめるかも。あと今日気付いたが、段原さんが「It’s my turn」と歌っているのが「全部賭けてGO!!」の「私達のターン」とつながっているのが面白い。

 

新メンバー

3flowerと新メンバーは少し低めのヒールの靴を履いているのだが、それでも新メンバーは背が高く見える。先輩たちはびっくりするくらい高いヒールなので3flowerがだいぶ小さく見える(特に有澤さん)のだが、それはさておき手足が長い2人だ。特に遠藤さんは成長期独特のアンバランスさを感じるのでまだ伸びるのかもしれない。

石山さんはまだ表情が固かったりダンスのリズムがずれたりする時もあるけれども、全体的には悪目立ちすることなくすんなり溶け込んでいる。歌声はまだつかみどころがないので今後も注視したい(岸田構文)。ポテンシャルがすごい人だと思い込んでいるので期待しかないし、前述したように「KEEP ON」など明るい曲の時の笑顔の輝きは比類ない。美人な中でもちょっとだけバランスが特殊な感じのパーツ構成なのだが、ちょっとまだ言葉にしきれない。

遠藤さんは本当に初めてパフォーマンスを見たのだけれども、後半かなり双眼鏡で追ってしまうくらいに引き込まれた。すごく楽しそうな表情で、しかも引き出しが多い。全部のパーツが尖っているような個性的な顔立ちなのだが、その表情の変化を生で見ると名状し難いかわいさを感じる。ダンスもとても魅力的だ。バレエ経験者ということで一括りにするのは乱暴だと思いつつ、曲線的な動きには真琳さんと通ずるものを感じる。軸がしっかりしているのだけれども、手足と胴体が一体となって動いているようなしなやかさがある。肩の関節が柔らかいのだと思うのだが、ちょっと普通でない上腕の動き方が印象的だ。「ひといき」だったか、先輩メンバーにくっつかれた後に照れてしばらくニヤニヤしながら踊っていたのがファンの人っぽくて良かった。

 

3flower

全員歌が上手くなっています。これは断言できます。江端さんが格段に安定感を増していて、低音ボーカルとして確固たる地位を築きつつある。一方でソロの歌割では「私の武器はハスキーボイス」という歌詞が説得力を持ってくるような美しいパートもあった。髪型は非常にシンプルなのだが、それでいて目立つのは圧倒的にかわいいから。

入江さんは覇気がすごかった。工藤さんがMCにもあったように脱力できるようになってきた今、力み担当になりつつある。曲のトーンに合わせて変化をつけているのが表情にも歌声にも表れているので、段々それがほぐれてきて良い塩梅になっ手くるんだろうなと思う。「POPPIN’LOVE」のセリフは広島弁で。「好きなんじゃけーなんよ」だったかな。これは会場に行かないと聴けないやつ。大阪に引き続き聴けてよかった。「ひといき」の落ちサビ、松永さんから入江さんという流れに変わっていたのだが、気合いが裏目に出たか声がひっくり返ってしまったところがあり、照れ笑いがスクリーンに映っていた。この大物感が入江さんの魅力だと思う。

有澤さんはとにかく「Never Never Surrender」最後のフェイクを担当していたのに驚いた。いや、「全部賭けてGO!!」のことを考えたら驚くことではないのかもしれないけど、とにかく信頼されているしそれに応えている。

それぞれの特徴がはっきりしてきて、歌割も非常に納得のいくパートがあてがわれていて嬉しい。

 

MC

とりあえず、井上さんが曲の入りのMCで上手く言えなくて、ごまかす流れでボイスパーカッションを始めたのが一番印象的だった。噛んだのをごまかすのにボイスパーカッションしたのはアイドル史上初じゃないだろうか。

MCで感じたのは植村さん率いるJuice=Juiceが本当に彼女のカラーになっていることだった。

終わりの挨拶が象徴的で、途中まで本当にまともな人がいなかった。せっかくなので抄録を記しておこうと思う。

遠藤さん 毎回テーマを決めていて、今日は「のびのび」。体をしっかり伸ばすのと、のびのび楽しむこと。足がくにっとしちゃったので気をつけたい。

石山さん 段原さんにあげもみじをもらった。棒を取っておいてある。その棒に植村さんがチョコレートもみじを指してくれてダブルもみじになった。もみじ2つ分のパワーをお届けできた。

江端さん 夢に石山さんが出てきた。無人島にいたけれども自分だけ空を飛んで行けた。そんな感じで軽々と踊ろうと思ったけど重々な感じになってしまった。それもまたよし。

入江さん 「POPPIN’LOVE」のセリフ、3日前の広島は自分で調べてやったけど今日は段原さんに聞いて教えてもらったのを言った。「合ってましたか」「合ってたよ」(段原さん:セリフのすぐ後にこっちを見てにこーっとするからかわいかった。)

有澤さん 髪留めが取れて何曲か貞子みたいになっててすみませんでした。(この間入江さんの衣装の袖が変になっていて江端さんに直してもらっていた)私も夢に石山さんが出てきた。お母さんと喧嘩している横に出てきて「ははは」と笑っていた。オチがなくてすみません。

松永さん 武道館が近づいてきましたね。毎週話していたらここで言うことがなくなってくる。何を話したらいいですか?(客席反応しようにもできない)入江さんのセリフのところで毎回有澤さんの「ぐへっ」ていう声が聞こえてくる。

工藤さん 今日の目標は(と遠藤さんの方を見るが遠藤さんははけていた)迫力と脱力で(ここから早口で色々言ってた)、脱力をできたと思うのでこれを大きな舞台でもやりたい。今日は曲中に段原さんが2回もくっついてきてくれて嬉しかった。

井上さん タコの後は話しづらいって毎回思う。久々にハーフアップした。前髪の横を三つ編みにしたり。メイクも跳ね上げていて、鏡を見て侍みたいだと思った。格好よくできたかな?

段原さん 広島公演ではオレンジのサイリウムがたくさんで綺麗だなーと思う。アステールプラザはASHで年2回発表会をやっていた場所なので懐かしい。

植村さん 今日の目標は(と新人っぽく喋る)髪を見てもらったらわかると思うんですけど〇〇(聞き取れず)という犬をイメージしました(ウェーブでおろしている)。犬になれてましたか?(大拍手)まあみんな犬みたいなもんですけどね!(となぜか遠くにいる江端さんと頷きあう。「タコいますけど…」と工藤さん)前の広島公演のあと段原家と広島を旅した。家族といる時のるるは末っ子なんだけどあたしには後輩らしくキリッと接してくるのが面白かった。

 

前にも書いたかもしれないが、Juice=Juiceは本当に雰囲気が良く、あかりさんから彩加里さんまで様々な形で、BEYOOOOONDSとはまた違った優しい世界が生み出されている。それでいてクールな楽曲に合った声質の人が集まっているのも奇跡的だと思う。このメンバーでパフォーマンスする楽曲をこれからも楽しんでいけるよう、そして来年の10周年イヤーが充実したものになるよう願っている。

 

セットリスト

  1. STAGE~アガってみな~
  2. カラダだけが大人になったんじゃない
  3. 「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?
    MC
  4. 全部賭けてGO‼︎
  5. 好きって言ってよ(8人)
  6. イジワルしないで 抱きしめてよ(8人)
  7. G.O.A.T.(8人)
  8. ポツリと(8人)
    MC
  9. イニミニマニモ~恋のライバル宣言~
  10. POPPIN' LOVE
  11. 生まれたてのBaby Love
  12. Never Never Surrender
  13. Borderline
  14. KEEP ON 上昇志向!!
  15. この世界は捨てたもんじゃない
  16. Wonderful World
    MC
  17. 未来へ、さあ走り出せ!