この世のもの

見たものと考えたこと

「Juice=Juice CONCERT TOUR 〜terzo〜 FINAL 稲場愛香卒業スペシャル」をフジテレビTWOで見る

Juice=Juiceの武道館公演はこれで6回目だが、3回連続で卒業公演になった。中継で見るのは初めてである。何しろ単独コンサートの様子を見るのが去年のFAMILIA以来なので、卒業公演ばかり見ている感じだが、ひなフェスでの新曲披露や新メンバーの仕上がり具合なども見て、それなりの想像と期待を持って拝見した。

ステージが結構個性的で、ひなフェスっぽい。センターステージなのだが細長く、正面がどちらにもある感じだ。両端は高くなっている。ステージまでは普通同じ高さの花道があるか、隠し通路があると思うのだが、今回は床面、アリーナ席と同じ高さの花道があった。アリーナ席の逆側の人からは全く見えなそうだ。

なんとなく最近思っているのは、2年くらいそのグループのメンバーとして活動していると本領が発揮されてくるなということで(漫然と日々を送っている生き物のたわごとでしかないが)、今のJuice=Juiceで言うと井上さんだし、初期のJuice=Juiceで言えば最初の中野サンプラザあたりが2年だ。稲場さんも、工藤さんもそのあたりで歌が安定してきた気がするし、梁川さんはもう少し続けていたらもう一段階すごい歌唱メンバーになっていたかもしれない。それが良いとか悪いとかではなく、いかにハロー!の皆さんの不断の努力が素晴らしいかと言うことです。それぞれに個性があって、それぞれの本領がある。

今回のセットリストは意図が結構はっきりしていて、「terzo」収録曲を並べて、人気曲「禁断少女」「ロマンスの途中」を挟み、宮本さん以来定番になりつつあるメンバー入れ替わりとの組み合わせでメドレー、衣装替えでユニット曲、そのあとはライブ定番曲で盛り上げてFamiliaで終わった。前半で今のJuice=Juiceをしっかり見せていたのが良かったと思う。アンコールの方に「続いていくSTORY」ではなく「シンクロ。」を持ってきていたのも、稲場さんの初参加曲というのもあって感慨深かった。

初披露の曲が3曲あって、「POPPIN' LOVE」は思っていたのと結構歌っている人が違っていて自信を失った。今のJuice=Juiceだと確信持てるのは井上さんと有澤さんくらいだ。「価値観・趣味違ったって」は江端さんだった。どういうディレクションであの歌い方になったのか、様子を見てみたい。それにしてもダンスが揃うグループになったなぁと思う間奏のダンスだった。「ノクチルカ」も初披露だったのだが、新メンバーの活躍が目立っていて、その新メンバーから順に歌い継いでいく2番のラインは「TOKYOグライダー」を思わせる高揚感があった。入江さんは顔立ちが男前なのでこういう曲のクールな表情が様になっている。そして最後にセンターにいた工藤さんが彫像のように美しかった。「G.O.A.T」は音源がフェイドアウトなのだが当然ライブではそうではなくしっかり終わる、こちらのバージョンの方が好みだった。稲場さんの部分はBlu-rayでどうなるかな。

「禁断少女」の最近の注目ポイントが落ちサビの高木さんが歌ったていたパートで、工藤さんが加速度的に良くなっている。梁川さんのところは長く金澤さんが歌っていたが、今回は稲場さんだった。最後のしゃくりが梁川さんリスペクトになっていて、ここで泣いた人は多いと思う。佳林さんパートを歌う植村さんも今回とくに素晴らしかった。

「ロマンスの途中」はもう誰がどの場所を歌うかさっぱり分からなくなっているのだが、1年半くらい前の10月10日イベントのDVDを見返してももう全く変わっている。この時は井上さん加入直後で工事中な感じだったが、さらに今はオリジナルが植村さんだけになり、みんな均等に頑張る曲になっている。もともとは大塚さんの穴を佳林さんが埋めていて偏重がすごかった。最後のサビでセンターに立った段原さんはひとりジャンプせずに歌い上げていて格好よかった。この曲に限らず段原さんは格好つけまくっていて結局かわいかった。

メドレーの選曲もどれも素晴らしく、さすが稲場さんなのだが、「初めてを経験中」は入江さんと江端さんの魅力がよく出ていた。入江さんは本当に年相応の歌がよく似合っていて、初めてを経験中の時でいうときーともの間くらい、Juice=Juiceのこの手の今日は最近あんまりやらないがどんどんやってほしい。江端さんは今かなりのショートカットになっていて、2015年の佳林さんやカントリー時代の船木さんを彷彿とさせる。表情の思い切りの良さもやはりこの2人っぽくて、とにかくかわいい。「微炭酸」はソロで歌うかなとちょっと思っていたがそうではなく、「井上玲音がJuice=Juiceの歌を…」のバージョンだった。これはライブでは初めてだろうか。想像以上にハーモニーが美しかった。稲場さんは気合が入ると音程が怪しくなる傾向があると思うのだが、この曲はものすごい集中力でピッチを保っていて感動した。生で見た人が羨ましい。

「雨の中の口笛」と「Mon Amour」もパフォーマンスを初めて見た。「Mon Amour」は歌詞が空虚なので感情を乗せて歌うのが難しそうだが、2番の段原・井上ペアと植村・稲場ペアに分かれて歌い継いでいくところが好きだ。どちらも非常に相性の良い組み合わせだ。常々2人の声の組み合わせを聴くのが好きなので、5人の時の「GOAL」とか「Feel!」とかはかなり楽しんで聴いていた。段原さんと井上さんの2人はノクチルカでも非常に熱い歌唱をしていて、今後を支えてくれる頼もしさがある。今回のコンサートでは他に松永さんと江端さんの組み合わせも良かった。

私は前から思っているのだが、「GIRLS BE AMBITOUS」のオリジナルは純粋な自己紹介ソングというわけではなかったので、オリジナルの歌詞を今のメンバーで歌ってみたらどうかというのをやってみてほしい。配役を妄想するのは楽しい。勿論人数は増えているので細かく分ける。

「如雨露」はもともと大好きというほどの曲ではなかったのだが、今回のパフォーマンスは今まで見た中で一番だった。ラジオやYouTubeでも井上さんなどが好きな曲として挙げているなどメンバー人気の高い曲だ。5人時代に発表された曲なのだが、多めの人数で歌うのに向いている。数人ずつで同時多発的に小芝居などを挟みつつ歌っていて、歌詞の前向きさと相まって非常に良い雰囲気だった。稲場さんにみんなでくっついていくサプライズもあって、しんみりしないけれども感動的な終わり方だった。

卒業コンサートとしては標準的なフォーマットに則ったものだったけれども、稲場さんの持ち味と今のJuice=Juiceの良さが発揮された良い式でした。

 

セットリスト

オープニングアクト

本編

  • VA-VA-Voom
  • プラトニック・プラネット
  • POPPIN' LOVE
    MC
  • 「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?
  • STAGE〜アガってみな〜
  • ノクチルカ
  • Future Smile
  • G.O.A.T
  • 禁断少女
  • ロマンスの途中
    MC
  • ダンスパフォーマンス
  • ポップミュージック
    卒業スペシャルメドレー
  • 初めてを経験中 稲場有澤入江江端
  • 好きって行ってよ 稲場工藤松永
  • 微炭酸(井上玲音が〜Ver.) 稲場井上
  • 続いていくSTORY 稲場植村段原→全員
    MC
  • 雨の中の口笛 工藤松永有澤入江江端
  • Mon Amour 植村段原稲場井上
  • Fiesta! Fiesta!
  • GIRLS BE AMBITIOOUS! 2022
  • 私がいう前に抱きしめなきゃね
  • Goal〜明日はあっちだよ〜
  • Magic of Love (J=J 2015 Ver.)
  • Familia

アンコール

  • もしも… 稲場
  • シンクロ。
    MC
  • 如雨露

lp.p.pia.jp

realsound.jp

つばきファクトリー日本武道館公演の関連記事とセットリストなど

岸本さんもイベントで言っていた通り、WEB記事が多く配信された。

公式のTwitterでリンク貼られているのだが、まとめておきたい。

 

ameblo.jp

これは浅倉さんのブログだが、メドレーのセリフについて解説してくれている。それにしても翌日にインターネットサイン会って、大変だな…。

 

natalie.mu

ナタリーの通常の形式で、曲名とMCの内容が中心。

 

rollingstonejapan.com

「当日の様子を収めたオフィシャルレポート」だそうです。CDjournalにも同じ文章が載っていたが、オフィシャルレポートって誰が書くんだろう。「あたかも微かな花の香りを想起させるような」など詩的な表現が印象的だ。今回1曲目の「マサユメ」が前回の武道館ラストの曲だったというのは読むまで気づかず。Juice=Juiceも初と2度目の武道館公演を「Wonderful World」で繋いでいたことを思い出す。

 

realsound.jp

唯一の署名記事。一番会場の雰囲気が伝わってきたし、音楽的な説明もある。「アドレナリン・ダメ」は「ハードな四つ打ちディスコナンバー」らしい。EDM歌謡っていう言葉も初めて聞いた。写真も大きくて有難い。特に2枚目のセンターステージに全員揃っている写真が好きなのだが、八木さんが小片さんに見える。

 

と、いうことで記事をいくつか見たが、何故かセットリストが見当たらないので、記録しようと思う。

 

オープニングアクト
恋のクラウチングスタート(OCHA NORMA)

 

マサユメ
涙のヒロイン降板劇
約束・連絡・記念日
笑って

MC

弱さじゃないよ、恋は
ふわり、恋時計

メドレー

  • 初恋サンライズ
  • ハナモヨウ
  • イマナンジ?
  • I Need You 〜夜空の観覧車〜
  • 低温火傷
  • 純情cm(センチメートル)

アドレナリン・ダメ
足りないものを埋めてゆく旅

VTR

最上級STORY
だからなんなんだ!
ラクタDIAMOND
可能性のコンチェルト
My Darling ~Do You Love Me?~
断捨ISM
三回目のデート神話
今夜だけ浮かれたかった
愛は今、愛を求めてる

 

アンコール
ボディパーカッション
表面張力〜Surface Tension〜

MC

ハッピークラッカー
帰ろう レッツゴー!

 

 

あとは終演後の動画も公開されている。


www.youtube.com

最後の「しろよ」が好きで何度も聴きかえしている。良い声。

 


www.youtube.com

ハロステでは「アドレナリン・ダメ」「だからなんなんだ!」の2曲が公開された。

結構アップの映像が多い。小野田さんの真顔もたくさん見られます。

「アドレナリン・ダメ」の豫風さんのフェイクはすでに音源よりライブの方が良いな。あと4:04のところで八木さんがこっちに向かって無理ってしてくれますよ。

 

おまけ

ameblo.jp

豫風さんの真琳さん評。イマナンジをもう一度聴いてみましょう。

 

 

 

 

 

つばきファクトリー 岸本ゆめの×秋山眞緒×福田真琳FCイベント2022 ~チャウチャウちゃうねん2~ in 大阪 於YES THEATER

福田真琳さんが大阪に来てくれたので、見にいくことができた。すっかりつばきファクトリーおよび真琳さんのファンの私だ。京都に転居する際はこれでFCイベントはほぼ参加できないな(あとさくら学院に行きづらいな)と思っていたので、こういう機会は大変嬉しい。

大阪出身の岸本ゆめのさんと秋山眞緒さんのお二人のイベント、前回は河西結心さんがゲスト参加して行われたらしい。前回と異なり、今回はなんばグランド花月に隣接するYES THEATERというところで行われた。仕事を終えてから2公演目に間に合った。劇場なので、傾斜した席の下方に舞台がある。そちらにお三方が立っていた。かなり前方で見られたが、真琳さんは逆サイドだったので、やや距離はありつつも横顔を多めに拝見できた。衣装は約束・連絡・記念日のものだった。秋山さんのスカートがおしゃれだ。そしてプリーツの細かいスカートが好きな私には真琳さんのこの衣装が見られたのは幸運だった。腕が細長いのはそうなのだが、武道館で見た印象よりも筋肉質だった。岸本さんの筋肉は段違いだったが。普段は京都の人の話す言葉を聞いていて、いまだに京都と大阪の話し方の違いなど全然わからない私だが、今日のお二人の話し方は大阪っぽいなと思った。なんというか、キレがありますよね。

最初に日本武道館公演の感想を。観客にも参加者が多くいた。岸本さんは観客数でいったら前回よりも少ないかもしれないけれども、WEB記事やTwitterのトレンドなど、反応が前回よりも多かったと。真琳さんは後で映像を見て、ステージ上のディスプレイ(とは言わずに、プロジェクター、電子掲示板など言葉を探っていた)の文字の演出が印象的だった。岸本さん曰く思っていたよりおしゃれなフォントで、真琳の文字っぽかった、少なくとも小野田谷本の字ではない。次はもっと特殊効果を使いたいという話にもなって、岸本さんは床から飛び出たい、秋山さんはモロッコ(トロッコのこと)に乗って客席にボールを投げたい。新沼さんが強く投げ込みそうだが、真琳さんも暴れ馬っぽいので強く投げそうという話でした。

大阪クイズ、それぞれが大阪に関するクイズに答えて、不正解だとビリビリグッズを使用させられる。吉本新喜劇のこととか、岡村美波さんの座右の銘とか、勉強になりました。真琳さんは地元じゃないので客の助け(挙手など)を求められるが、客席が割れたのもあって結局電卓のビリビリを受けていた。リアクションが意外にアイドルだった、内股で崩れ落ちていた。しかし痛み自体は大したことなかったということで、やはり辛いものが平気な人は痛みに強いんじゃないだろうか。秋山さんは全問正解したのに、その後のコーナーで花月を「はなつき」と読んでビリビリしていた。そのときの表情が凄かった。何か後戻りのできない大事件を起こす直前のような。秋山さんが自分たち3人を評して「芸人とアイドル」と言っていたが、実際そんな感じだった。

テーマを籤引きするトークコーナーもあったのだが、爆笑したことということで3人が沈黙してしまい、冒頭で秋山さんがビリビリしていたのもあって一題で終わっていた。知れたのは、岸本さんが差し入れを真っ先に選びにかかったということでした。ハロプロって元々そういう感じじゃないのかしら。あとは同じ会場で行われた寸劇イベント(かすかにそんな告知を見た記憶はある)で小片さんと通りゃんせを笑わずに歌うのが大変だったとか。真琳さんは聞いた話を初めて聞くように聞ける人だった。

真琳さんがお題について岸本さんか秋山さんを選ぶコーナー、タイトルは全然思い出せない。値切るのが上手なのは秋山さん、USJで1人で楽しめそうなのは岸本さん。ダンス見せるから値下げしろ的なことを真琳さんが大阪弁風に言っていたがなかなかスムーズだった。真琳さんはUSJに一度だけ行ったことがある。メンバーとまた行きたいと。「好っきやねん(岸本さん曰く好っきゃねんの新種や)」対決は岸本さん。言われて嬉しそうな真琳さん、「唐揚げよりもたこ焼きよりも…」と言った岸本さんを「自分の好きな食べ物を犠牲にしてまで」と表現しているのが面白かった。2人とも当然のようにセリフを加えていたのが寸劇の成果なのか。

サイン色紙抽選会(当たらず)を経て、ミニライブということで3人がそれぞれソロで歌唱。

忘れてあげる、コーナーが変わった瞬間イントロが流れ出す忙しなさだったのだがすぐに世界を作っていた。秋山さんは武道館でも高音がクリアで美しいと感じたけれども、この曲もその良さが出ていた。自分の座っていた方にも来てまっすぐ見られたが、奈良国立博物館で見た飛鳥時代とかの仏像にも似た彫像的な美しさがあると思った。茶色の衣装のせいもあるかも。

真琳さんの年齢について考えたことがなかったが、17歳なのだった。去年はバースデーイベントはなく、そもそも武道館が誕生日当日だったので、次の誕生日はもう18歳だ。確かに歌うなら今だ。いまだに捉えどころのない歌声をしている。細いような不安定なような、影のあるような、でも芯ができてきたような。多分音の高さにもよっても違うのだと思う。17才は得意としてきた音程よりも高めだからこそ、今までとは違った響きがあったのかもしれない。ダンスは安心して見ていられる、ずっと笑顔の曲はつばきでは多くはないので、ソロでかつ笑顔の真琳さんを見られて良かった。「生きていく」の最後のuが高く上がる方のバージョンがかわいいと岸本さん秋山さんが絶賛していた。なるほど。つばきはもう何年も歌っていないらしい。

岸本さんは22歳でB型ということでこの曲らしい。原曲を知らないけれどもきっとこれが正解の歌い方なんだろうなという説得力がある。武道館でも思ったけれども、圧倒的に上手なのに、くどさとか耳に痛い感じが全くないのがすごい。ハロプロの中で、今私が歌に点数をつけたら1番かもしれない。

ライブ明けての感想で、秋山さんは2人がキラキラしていたので刺激を受けた的なことを言っていたが、秋山さんもキラキラしていた。生命力のようなものがずっと体表から放出されている感じがする。真琳さんはリハーサルで先輩2人のステージングで上手下手に動いているのを見て、自分もお客さん一人一人にパフォーマンスを届けようと思って、センター固定で歌うつもりでいたのを急遽変更し、動きを入れたとのこと。こういう話を聞けるのは本当に嬉しい、言ったほうが良い努力というのがアイドルにはあると思う。それを聞いて岸本さんが「最高の人間」だと賛辞を送っていた。岸本さんの御母堂は真琳推しになっているとのこと。真琳さんは謙遜していたが喜んでいたと思う。

 

と、いうことで、真琳さんを今までで1番近くで見ることができた(そもそも3回目だが)。顔が小さくて本当に人形のようなプロポーションだ。表情が豊かなので、ずっと見ていられる。はっとしたような表情の時は結構目が円らだ。鼻が思ったより尖っているのと、耳の位置と形がシンプルなのがいいなと思いました。分かりにくいですね。ほっぺたが柔らかいのがチャームポイントとおっしゃっているが、それもあってか指やプレートやマイクを頬に刺す仕草が多くてかわいい。言葉遣いもなかなか独特だった、クイズに正解した時の「お見事ですー」というのが好きだった。最後退場するときに、正面からの御尊顔も拝観できたが本物だ…という感じがした、やはりメディアを通じて見るのは正面が多いので。そして去り際に「ほななー」と言って手を振った。本家(?)江端さんのも大好きだが、真琳さんのも相当でした。

 

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つばきファクトリー CONCERT TOUR~PARADE 日本武道館スッペシャル~

つばきファクトリーの単独公演に行くのはこれが初めて。武道館で見たことはあって、つばきの皆様はJuice=Juice武道館のオープニングアクトを度々つとめてくださっていたので、特にTRIANGROOOOOVEの時の「今夜だけ浮かれたかった」は記憶に残っている。あの時も今回同様アリーナだった。さて、昨今の自分の中でのつばき熱、ファンクラブ入会によって東京遠征が実現した。楽しみにしていたし、GW特番など予習をして臨んだのだが、想像以上に素晴らしいものを体験し、記憶に残るコンサートになった。いつも武道館では感極まっている気がするので、場所の魔法もあるのかもしれない、が。

グループ全体の印象が大幅に好転した

嫌いだったわけでは全くないのだが、興味関心が強くなかったのが変化したという感じだ。やはりパフォーマンスを見るのが何よりだ。歌唱力や声量が想像よりも断然上回っていた。歌割が結構シビアで要所を歌えるメンバーが歌っているのもあるのかもしれないし、カラオケとか見ていてもそれほどうまい人たちの集団とは思えないのだけれども、持ち歌が上手いというのはそれだけの練習と経験と思い入れとが楽曲に注がれているということなのだと思う。

岸本さんは別格に上手で、Juice=Juiceにおける高木さん、モーニング娘。における小田さんよりも役割が大きく感じた。フェイクが新曲含め素晴らしい。耳に痛くない、無理をしていない声の通り方をしている。自己顕示とかを超えた崇高な響きをしている。

岸本さん以外は常に上手いと言うよりは要所要所で印象に残る歌唱をしていた。特に小野さん、小野田さんが支えている。小野さんの低音は強くて感情がストレートに乗っている。そして小野田さんが思っていたよりずっと重要な役回りで、声が強い。真っ直ぐに大きな声を出すと言うことが得意なのだと思う。そういえば佐藤さんと2人で歌っていた歌合戦も立派なものだった。研修生のときの不思議ちゃん(イカちゃん)から、ナルシストキャラを経由している中で気づけずにいた魅力をコンサートで教えてもらった。

浅倉さんは驚くほどうまいと言う時はそんなにないのだけれど大きくも外さない感じ。山岸さんは思ったよりも歌では目立たない。ダンスの印象の方が強かった。谷本さんと新沼さんはそもそも歌割が少ないが、独特の声の響きを生かしていることが多く、ディレクションが良いのだなと思わされる曲もあった。秋山さんは時折びっくりするくらい美しい高音を出すのだということを知った。

そもそも12人という人数の力はあって、6人、6人でも十分な声量がある(そもそもつばきは6人だった)ので12人ユニゾンになった時の迫力がすごい。ラストのサビだけ全員になるという私の好きなパターンも楽しめた。

ダンスが揃っていて見ていて気持ちが良い。それぞれの特徴はありながらも統一感がある、12人になっても損なわれていない。おそらく9→8人時代をそれほど熱心にみていないのもあると思う。Juice=Juiceなどはどうしても5人時代のフォーメーションが目に焼き付いているので、多いなと思ったり、余っているなと思ったりしてしまう。

単独コンサートを初めて見るのに言うのもなんだが、小片さんがいなくなったこと、4人が入ったことによる危機感が刺激になっているのは間違いないと思う仕上がりぶりだった。

セットリストが好みだった

つばきといえば曲が良い、恋愛ソングが得意というイメージで、宮本佳林さんもバースデーイベントなどでよく歌っていた。しかしインディーズとか初期のころはどちらかというと暗い曲調で己を鼓舞するような歌を不安定な音程でパフォーマンスするような印象があって(ひどい)、多分初恋サンライズとかハナモヨウとかを経て、2018年の低温火傷くらいから今のイメージがだんだん作り上げられてきたように思う。今回は私が勝手に思っている初期のイメージの曲を排していて、つんく曲もなく、人気投票をやっても上位に入りそうな曲を全てやってしまうようなセットリストだった。パフォーマンスする方は大変だと思う。武道館が2回目であり、5周年コンサートもテレビも含めてやっていたので、初期を振り返るような構成はもう済ませたというところもあったのかもしれない。

とにかくどの曲もいいなー完璧だなーと感心ばかりしていた。MCが少なくてどんどん曲を見せていくセットリストも好みなので、そういった点でも良かった。

演出がシンプルだった

今回はステージはセンターステージではなく(席は半分使用だったので観客数は5000人以下か?)、後ろにスクリーンがあったのだが、そのスクリーンには常にメンバーが映っていて、妙なVJ的なものがなかった。照明以外に余計なことをほとんどしていなかったのもあってパフォーマンスの良さが直截に伝わってきた。ステージ上にはいくつかディスプレイが置かれており、こちらも照明との連携が主で、セリフの文字が踊ったくらいだった。

中盤の衣装チェンジでは映像があり、つばきファクトリーの歴史が(小片さん脱退を除いて)コンパクトにまとめられていて、それに公園の広場のようなところで白衣装のメンバーが歩いているイメージ映像が挟まっていた。子どもだった皆さんがみるみる美しくなっていく様子が、立場がアイドルを作っていく様が感動的だった。

演出といえば、だからなんなんだ!をライブで見たのはもちろん初めてなのだが、冒頭に小野田さんの真顔での謎ダンスがあった。後方では他のメンバーもそれぞれ謎の動きをしていたのだが、メインにされているのも頷けるほど小野田さんの真顔は強い。曲中も全員笑顔を見せずに歌っていて、キャンディーズの「恋のあやつり人形」を思い出した。小野田さんのあの姿を思い出すだけで少し元気になれる。どうやら『「2nd STEP」Solo and Dance Practice Clips』というのを見ると小野田さんのソロでこのダンスが見られるようで、購入者はすぐわかったのかもしれない。

新曲①山崎さん曲

なぜか全然覚えられないタイトル(弱さじゃないよ、恋は)。河西さん、八木さんがいいところとっている。八木さんは先日読んだTopYellNeoでは小片さんから譲り受ける歌割の少なさを気に病んでいたが、新曲ではこのように重用されている。突き進んでほしい。終盤のユニゾンに岸本さんや秋山さんのフェイクが重なり合うエモーショナルな展開に感涙した。

新曲②アドレナリン、ダメ

つばきでお馴染みの雨子×卓偉曲。「弱さじゃないよ、恋はの方では歌割の少なかった真琳さんが力強く歌う部分があって内心で拳を挙げた。二人ずつ歌うところが低音と高音のコーラスワークになっていてつばきの得意技を見せていただいた感じがした。MVがもう公開されている。


www.youtube.com

新曲③アイドル天職音頭、は披露されず。やるものばかりと思っていたので、だからなんなんだの冒頭とか、ボディパーカッションとかはその導入と身構えてしまった。上記2曲がとても良いのでどんな曲が来ても大丈夫だと思う、ちゃんと3曲めだし。

セリフを基につないだメドレー

セリフのある楽曲といえば昨今BEYOOOOONDSの専売特許みたいになってきているが、もともとモーニング娘。にしろスマイレージにしろハロプロには多いし(Juice=Juiceには少ないが)、つばきファクトリーにもデビュー曲の初恋サンライズをはじめ、結構ある。今回は中盤にメドレーがあり、それがセリフを基調として曲間を繋ぐ構成で、トラックのクロスの仕方も含めて見事だった。そもそもCDとは違うイントロがライブでついたりするのが好きなのだが、それが色々と味わえた。セリフのない曲にもその冒頭に歌詞に応じたセリフがついていたりして(あれは誰が書くのだろうか*1)、ステージ上に複数個置かれたディスプレイにはそれが文字で現れていた。ハナモヨウだったか、八木さんのセリフとたっぷり間合いを置いたその表情が暗めのライトに照らされていたのが美しかった。メドレーは忙しなくてあまり曲に入りきれないこともあるが、今回に関してはどの曲もワンハーフくらいはやっていたと思うので、十分に曲ごとの世界を作り出していた。

ボディーパーカッションからの表面張力

アンコール冒頭、これも非常に優れたアイデアだった。要するに手拍子足拍子で、そのパフォーマンス自体が殊更にすごいと思わされるようなものではなかったのだけれども、それに終わらずに観客に練習をさせて、曲中でもそれを行うようにした編曲も素晴らしかったし、声援が送れない中で生まれた一体感が手拍子だけとは段違いだったと思う。楽しかった。BEYOOOOONDSのカスタネットも然りだけれども、今だからこそということを考える前向きな姿勢とアイドルのパフォーマンスの親和性が非常に高い。

新メンバー(特に福田真琳さん)について

4人についてはリトルキャメリアンという呼び名もあるようだけれども、浸透度はいかがか。まりんと平仮名で書くと電気グルーヴ感があるので漢字で行きたい。結局のところ、肉眼や双眼鏡で新メンバー、特に真琳さんを見ていた。八木さんと真琳さんが同時に視界に入ると非常に幸せだった。勝手に女優ペアと名付けている。それぞれの歌詞の解釈で振り付けや表情をつけていて、楽しい。2人に限らないが、メンバー同士がアイコンタクトをとって、表情を崩しているのとかを見ると、生で観覧することの良さを感じる。なかなか中継ではそういうところを見られないし、特定のメンバーばかりを見るということもできないので。女優ペアはバレエ経験者でもあるのだけれども、メドレーのつなぎのところでバレエを基調にした振り付けをしばらく披露する時間があって、真琳さんがTopYellNeoでも語っていたバレエを生かしたいということを早速叶えている、と嬉しかった。真琳さんのダンスはバレエの基礎を感じるしなやかさがあって、指先まで意識がいっている感じはフィギュアースケートの選手を思わせるものがあった。直線的でなくて円弧を描くような動きをしているのと、元々の手足の長さがあるのでより美しく感じた。表情も色々なものがあった、涙のヒロイン降板劇MVでもお馴染みの見下すような表情も結構得意技にしていたし、普段の番組やYouTubeでの謎の変顔とかからも窺える引き出しの多さが生きていた。丸顔なので、斜めから見た時も美しかった。満面の笑みになる曲はそう多くはないのだが、目が線になって口が大きく開いた時もかわいかった。話すことは御母堂に事前に添削を受けるらしいけれども、今回の挨拶もしっかり用意してきていた。「この景色を見られることは奇跡だと思うのでそれを感動に変えられるように」とのことで、これは佳林さんがいつも言っているフレーズにも通じるものだと思った、すでに感動してますけれども。用意してきた言葉を話すのはどうしても演説っぽくなるのでその時そのときの感情も乗るようになったらもっとすごいなと思う。とまれ、冒頭の挨拶で今回も言っていたように青椿というフレーズを推している。今は釜アゲアゲ(うどんを食べる仕草から上を指差す)も推しているっぽくて、ステージから退く時もやっていた。かわいいですよね。

TopYellNeoで真琳さんはコンサートで音程が取れないというところを悩みに挙げていたが、コンサートを重ねるたびに改善しているように思え、今日はかなり良かった、去年の3曲はもとより、例えば帰ろうレッツゴー!のあの難しいパートとかも。歌割が来るたびに緊張するのはJuice=Juiceにおける佳林さん以来で、やはりちょっと自分の思い入れが突出してきた感じがする。

河西さんの最近の力強さは感じているところだったが、武道館ということでよりその感覚があった。昨年のシングル3曲も音源よりも声が強く通っていたし、既存曲でも新曲でも歌割をどんどん手に入れていて頼もしい限りだった。八木さんと河西さんは長めのフレーズを担当することが多くて、やはりこの2人の良さは物語や感情を歌にして表現する所にあると思うのでこの傾向が嬉しい。河西さんは最後の挨拶で目標(アイコンタクトと表情だったかな)を達成できたと語りつつも自己採点を70点としていて、なかなかリアルな数字に会場もざわついていた。河西さんの100点は凄そうだ。今後も楽しみでしかない。豫風さんは私の周囲にも熱烈なファンと思われる出立ちの方がいたが、唯一無二の存在感があるのは間違いなく、今回も遺憾なく力を発揮していたように見えた。既存曲でも新曲でもやはり4人の中でファーストチョイスなのかなと思える歌割だったし、要所を締めていた。歌の技巧がすごいのだが、コンサートでも再現度が高い。頼もしい。笑顔も素敵だった。

 

衣装が3種類あったのだが、どれも全員同じ色調のものでメンバーカラーを模したものもなかった、アンコールにしてもグッズは関係なく花柄のものを着ていた。このライブが映像にまとまったらつばき入門としてすごく良いと思うのだが、メンバーを覚えるのはちょっと大変かもしれない。大人なライブに合っていた衣装だし、衣装替え前提の着膨れした感じもなかったので無理がなかった。2着目(おそらくツアーで着ているもの)で真琳さんがノースリーブの衣装を着ていて、初めて見たのでちょっとどきどきした、肩から腕のラインも美しくとても似合っていた。

金曜日には大阪につばきファクトリーのお三方がいらっしゃるので、見に行くことができる。どんなイベントか全く知らないのだが、楽しみです。

 

realsound.jp

*1:メンバーのブログによればそれぞれの作詞家の方々が書き下ろしたようで、感心。

映画「シン・ウルトラマン」

※鑑賞後を前提に書いています。

 

シン・ゴジラ」の成功を下敷きにした作品だった。

映画であるゴジラとテレビドラマであるウルトラマンの差がもともとあり、ウルトラマンが児童に向けた娯楽作品であることを考えると、この作品が全体的に「軽い」のも目指した通りなのだと思う。冒頭の神永が子供を助けに飛び出すところで、大体この感じの作品なのだなと姿勢が定まる。ただ、今回はあくまでも劇場版として制作されているので、テレビドラマの総集編を映画にしたような忙しなさがあった。ウルトラマンが特別な作品なのは科学特捜隊の人間関係、隊員の人となりがドラマを通じて描かれているからだと思うのだが、今回のシン・ウルトラマンではそこが希薄だったのが残念だった。せっかくウルトラQの怪獣をリメイクしたのだから、各職員がスペシャリティを活かして怪獣を倒すところを見せてほしかった。神永は ハヤタとは違ってどうやら人格はウルトラマン(リピア)になっているのだが、その異変に周囲も反応しないし、公安の人には普通に会っているしよく分からない、そこでバディだの相棒だの言われても…。

怪獣やウルトラマンのデザインは適度に格好良くなっていて全体的に好みだった。ザラブ星人が厚みのない殻のようなデザインになっていたのはオリジナルのデザインではないが、成田亨っぽい。ウルトラマンの肌が光沢を放って周囲を映したら美しいだろうというのは誰もが妄想したことがあると思うのだが、それが夜のシーンなどでは殊に美しく、これが見られるだけでもよかった。ウルトラマンは巨人であってほしいので、終盤に敵が巨大になったり場所が宇宙になったりする展開は(今までの劇場版でもあったが)、あまり面白く感じない。ベーターカプセルはポスターで見たときからお気に入りだ。音楽も鷺巣詩郎のオリジナルのみと勝手に思っていたので、宮内國郎の曲が鷺巣仕様にアレンジされていたのには興奮した。サントラは未発売らしいので待ちたい。

設定として良かったのが光の国(作中では光の星)が地球の味方ではなく、あくまでも宇宙全体の秩序を重んじる組織だったところだ。「三体」のような話で、自分たちの平和を乱す危険性のあるものは事前に排除するという動機で、ゼットンが兵器として登場する。最後のあっけなさ、ゾフィーの翻意は元のウルトラマンに近いといえば近いのかもしれないが、もう少し丁寧に描けなかったものかと思う。映画全体が112分で、もっと長くしようと思えばできたのではないだろうか。

結果として、「シン・ゴジラ」ほどには新定番にはならなそうだなという感想を抱いている。

Juice=Juiceのインタビュー記事

少し前になるが、新メンバーとリーダーの記事があった。

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有澤さんのDTMが想像以上に本格的で、知識と才能が窺える。能力の高さに対して異常に自己評価が低いので、その辺りが落ち着いてきた時にどんなものが放出されるのか楽しみだ。

Juice=Juiceはオリジナルメンバーの時代(6人→5人)が4年半くらいあって、それ以降の変動が生じてからの期間が同じくらいになった。そのタイミングで加入した3人が重要な存在という。植村さんがそんな計算をしていることにも、「2022年は模索の1年」と的確な日本語を使っていることにも感動してしまった。「組み分け帽子」という比喩も素敵だ。もちろん、動画だったらこうすっきりした表現にはなっていないと思うし、ライターの方のまとめ方が上手なのだろうと思うけれども。

そのライターの方が「他己紹介」などと言うので当然通じずタコ?となっていた。「他己」という言葉はなく、それを言うなら「他者」なのだが、そもそも紹介はふつう他者を対象にするので、「一人ずつ紹介してみてください」で良いと思います。